年頭所感

日本公認会計士協会会長 奥 山 章 雄

 
 新年明けましておめでとうございます。
 平成16年を迎え、近畿会の会員・準会員の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。経済において若干明るい芽が出てきたとはいえ、まだまだ多くの企業は苦しんでおり、会員の皆様には日夜の業務にご苦労されていることと存じます。平成15年は、会計或いは会計監査が世の中の焦点になることが多く、マスコミを大いににぎわしました。本年もその傾向は変わらず、会計に関する多くの事項が社会に取り上げられる事になるでしょう。以下、本年の課題についていくつか記したいと思います。
1. 改正公認会計士法の施行
   改正公認会計士法がいよいよ本年4月から施行されます。法に係る政令、内閣府令も着々と整備されつつあります。法の施行に備えて協会としても、昨年12月2日に臨時総会を開催し関連する会則・規則の変更を行いました。
 このような改正の中で今後目玉になると思われるのは「公認会計士・監査審査会」の設置であり、その活動です。私自身は、資本主義経済における基本は自主規制体制であり、政府規制は例外的にすべきだとの信念をもっていますが、国際的な流れを含めた現環境下では政府規制強化も止むを得ないものと受け止めています。「公認会計士・監査審査会」の活動が実務に円滑に導入され、実質的に意味があるものとなるよう私共も努力をしたいと思っております。
2. 銀行監査について
   昨年は、5月にりそな銀行、11月に足利銀行の問題が発生し、日本経済に大きな影響を与えました。いずれも繰延税金資産に対する監査人の意見表明が契機となって、公的資金の投入或いは特別危機管理銀行への移行が行われており、公認会計士監査に対する社会の認識が著しく高まりました。経済の不況下において、厳正な監査を求めることは当該監査人にとって非常に厳しい立場に立たせられたと思いますが、会計の番人として苦渋の中に適切な判断を行っていただいたと、私は高く評価したいと思います。
 経済に与える影響をもっと考えるべきだとか、監査人が破綻の引き金を引くのは問題だとか色々批判されましたが、監査の役割は会計基準に従って企業の会計処理が適正になされているかどうかを見ることであり、その批判は当たらないと私は主張してきましたし、今後も主張するつもりです。
3. 企業再生について
   銀行の不良債権償却によって、融資先の企業が破綻を招くことは不幸なことです。現在は不良債権の圧縮という大命題があり、止むを得ない場合もありますが、そのことだけでは企業は萎縮するばかりであり、日本経済は縮小均衡していくことになってしまいます。経済を活性化していくためには、企業再生が何より重要です。この企業再生において公認会計士の能力がたいへん期待されております。私は、再生可能な企業に対して無担保、無保証で融資できるシステム作りを大いに研究し、経済に貢献すべきだと考えております。 年頭に当たりまして、会員の皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。