年頭所感

金融庁企業開示参事官 羽藤  秀雄

 
   新年明けましておめでとうございます。
 年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
 資本市場の活性化によるわが国の経済社会の再生は、金融行政にとっての喫緊の課題であります。特に、資本市場と企業経営の透明性と信頼性の一層の向上が不可欠であります。金融庁としては、そのための制度環境の整備には、公認会計士監査制度のみならず、企業会計制度、ディスクロージャー制度など密接に関連する諸制度についても、企業経営や会計、監査を巡る我が国内外の環境の変化を踏まえつつ、積極的に取り組んでいるところであります。
 まず、公認会計士監査制度の充実・強化については、昨年6月に、「公認会計士法の一部を改正する法律」が公布され、昭和41年の改正以来の公認会計士制度の全般に及ぶ大幅な改正がなされました。
 改正の内容については、既にご承知のとおり、「使命・職責」の明確化をはじめとして、「大会社等」に対する監査証明業務と一定の非監査証明業務の同時提供の禁止などの「独立性の強化」、品質管理レビューの行政によるモニタリングなどの「監視・監督機能の充実・強化」、「試験制度の見直し」、さらに、監査法人制度の見直しや広告規制の廃止などの規制緩和の措置が盛り込まれています。
 現在、改正法の円滑な実施に向けて準備を進めており、昨年末には公認会計士法施行令や公認会計士等に係る利害関係に関する内閣府令などを改正いたしました。引き続き、関係法令の内容や趣旨についてはいろいろな機会を捉えて説明等に努めてまいりたいと考えております。
 なお、「公認会計士審査会」については、従来から、公認会計士試験の実施及び懲戒処分に係る調査審議を行っていますが、改正法により「公認会計士・監査審査会」と改組され、さらに品質管理レビューに対するモニタリングも併せて担うことになりました。本年4月からの円滑な活動に向けた準備に取り組んでいるところであります。
 企業会計制度につきましては、会計基準の立案は(財)財務会計基準機構「企業会計基準委員会」が担うこととされ、積極的な活動を展開されていると承知いたしておりますが、他方、企業会計審議会において審議を継続することとされていた「企業結合会計」の基準については昨年10月に意見書が公表され、総じてわが国の企業会計基準については国際的に見ても遜色のない水準にあるということができると認識いたしております。今後、2005年からのEU域内の上場企業の連結財務諸表への国際会計基準の義務付け、国際監査基準の採用の検討などの国際的な動向を踏まえつつ、関係者との連携を図りながらわが国の制度環境の整備・改善には引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、ディスクロージャー制度については、金融審議会第一部会において、制度の一層の充実を図る観点からのご審議をいただいております。昨年末には「目論見書制度の改善」、「公開買付制度の整備」等についてのご提言をいただいたところであり、今後、関連制度の見直しの具体化に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
 昨今の公認会計士監査に対する関心や社会的な期待は大いに高まりを見せております。特に、昨年3月期から実施された改訂監査基準等によってこれまで以上に実質的判断が求められるなど、公認会計士の方々の判断と責任もますます難しい局面にあるように思われます。
 もとより、日本公認会計士協会におかれましても、その自主規律のもとでさまざまな取組を展開されていると承知しております。昨年末には、37年ぶりの臨時総会を開催され、改正法に対 応するため「品質管理レビュー」や「継続的専門研修制度」の充実・強化に努められていると承知しております。引き続き、公認会計士監査の発展に向けて積極的に取り組まれることを強く期待しております。
 わが国の公認会計士監査制度は、本年4月からの改正法の施行をはじめとして、今、大きな節目のときにあります。金融庁としましては、法に基づいて与えられた役割を適切に果たしてまいるべく、引き続き、企業会計制度、ディスクロージャー制度などとともに国際的な観点も踏まえた公認会計士監査制度のさらなる充実・強化を図ってまいりたいと考えており、公正性と信頼性を基礎とした監査・会計制度の確立のため、会員の皆様方のより一層のご理解とご協力をお願いいたします。
  末筆になりましたが、近畿会のより一層のご発展と会員の皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げまして、年頭のご挨拶と致します。