報告

 各士業女性合同研修会の開催について

女性会計士委員会委員長 大澤 里美(旧姓:南)

 
 2003年11月29日に各士業女性合同研修会が開催されました。
その概要をご報告させていただきます。
 各士業女性合同研修会は、昨年までの名前を四士業女性合同研修会と言い、今年で5回目を数えます。その名の通り士と名がつく資格業務を行う各業界の女性会の合同の研修会です。税理士・司法書士・公認会計士に加え本年度からは社会保険労務士・不動産鑑定士も参加し、より幅広い専門家の集まりとなりました。

 本年度のテーマは「地方公共団体の財政を考える」です。地方分権、三位一体改革が進められる中タイムリーなテーマで、それだけに同様のセミナーは公認会計士業界でも他業界でも実施されていると思いますが、これほど多方面からの検討を加えた研修会は珍しいのではないでしょうか。

 まず基調講演として大阪府政策室長の清水幸弘氏にお話いただきました。実際に地方行政を遂行される立場の方の三位一体改革をいかに進めるべきかについてのご意見をうかがえる、貴重な機会ではなかったかと思います。最も基本のお考えは納めていただいた税金が地域の生活向上にどのように繋がっているかを明確に説明できる体制を作りたいということではないかと思われ、地方公共団体の自律を感じるお話でした。
 その後各業界を代表するパネラーによるディスカッションに移ります。公認会計士からは小幡寛子氏が「地方公共団体の財務分析と、今後の会計・財務報告のあり方」と題した発表をされました。会計士からの提言としてはもちろん自治体に適用される適正な会計基準を整備しそれに基づく財務情報の開示が必要ということですが、単に一般論でなく、自ら大阪府下の市町村の財務数値を用いて各種の財務指標を作成してされた説明は説得力のあるものでした。一般的な指標のみでなく、独自に債務の返済可能性をはかる指標を提言するなど、自治体財政の専門家にとっても役立つ資料ではないでしょうか。

 他業界からも、例えば税理士からは地方への税源移譲を行う方法について、社会保険労務士からは医療保険改革に関する問題点などが提言されました。どうしても資金不足など暗い話題が多くなるなか、不動産鑑定士から提示されたTIFの導入などは、今後の前向きな地方行政のあり方を考えていく切り口ではと思われます。(初めて耳にされた方も多いかと思いますが、TIFとは将来の財産税の増加を財源として地域の再開発を行う、アメリカなどで採用されている最新の手法の事で
す。)

 最後に、京都大学法学部の大石眞教授よりお話を頂きました。
憲法がご専門の先生ですが、今回は難解なお話でなく、訪問されたばかりのヨーロッパの各都市を事例に、自ら治める意識が定着している欧米と、自ら治まる、というより治められる意識の強い日本との差のお話は感覚的にとても納得できるものでした。結局地方分権の最大の鍵は住民意識、という事でしょうか。

 全体として、それぞれの専門の立場からの地方公共団体に対する提言を含んだ有用な発表であり、かつ地方財政について素人の私でも聞いていて理解できる面白い研修でした。地方財政を専門に研究される方が聞かれれば、より考えることの多い内容だったのではと思います。資料は余部がありますので、もしご希望なら、近畿会経由でご請求ください。

 研修終了後は懇親会です。正直に申しまして、私などはこちらの方が本番です。若くして独立してらっしゃる方、多くの職員を使う事務所の所長、各業界の委員を勤められる先輩方など多くの女性専門家とお話できる機会はそうあるものではありません。今年もまた元気を頂いて帰ってまいりました。
 来年も実施されるかと思いますので、よろしければ皆様もご参加ください。男性も歓迎いたします。