報告

政治資金アンケート調査結果報告

 

平成16年10月29日
 

日本公認会計士協会近畿会
社会公会計委員会 政治資金小委員会

 
目次
1. 調査の概要
2. 総論
3. 回答結果の個々の状況
4. 回答結果集計表
5. 記述回答一覧表
 
(調査の概要)
 平成16年7月16日に衆議院議員全員に政治資金に関する別紙のアンケート調査票をお送りし、8月末までに77名の国会議員から回答を得ることができました。
 
(総論)
 政治資金の透明性、公正性確保の一層の充実が叫ばれて久しいものがあります。今まで数次の改正が加えられ、国民による不断の監視と批判の下に報告制度の改善が進められています。
 しかし、この政治資金収支報告書が、国民にとってまだまだ遠い存在であり、その報告内容も極めて分かり難いものになっています。そうした中、公認会計士の立場から、政治資金に関して今般アンケート調査を衆議院議員の先生方にお願いしたものであります。
 回答数は比較的少なかったものの、回答結果から読み取れる内容をまとめました。
 
1. 政治資金情報公開の一層の充実が必要。
2. 寄附する側の企業・団体における事業報告書などで、政治活動に係る寄付の状況を開示するのが望ましい。
3. 政治資金収支報告書作成のための会計制度の改革も必要。
4. 政治家はいくつもの政治団体を主宰している関係上、個々の政治資金報告書単位では政治資金の全貌が分からない。個々の政治家単位での連結若しくは結合された政治資金報告書の方式が望ましい。
5. 政治資金報告書の監査は現状どおり必要である。しかし、政党助成法に基づく収支報告書だけではなく、政党の本部・支部も含めた全体を監査対象とすることが必要と考えられている。
6. 政党から国会議員に渡される活動費の開示は不十分であり、その使途を明らかにする必要があるとする意見が多数であった。
7. 政治資金の源泉は、個人献金、企業団体からの寄附、政党交付金の3点セットが多かった。しかし、企業団体献金を除くとする意見も相当数に上った。
 
政治資金規正法に基づき、政治資金報告書が作成され、開示も行われている。しかし、その収支報告書から政治家の政治資金の実態が読み取れない。収支報告書の入手や閲覧の手続が現行制度上、非常に煩雑である。さらに、いくつもの政治団体を主宰している政治家が多く、かつ当該団体間の資金移動が多いことから、結果的に、政治資金の実情を国民の監視の下に置くための収支報告書の基盤がまだまだ不十分であることが浮き彫りになった。
 
 

以上

(回答結果の個々の状況)
1. 政治資金の情報公開の方法は利用者からみてより使い易くするため、開示方法の改善は必要であるとの回答が83%であり、現状でよいとする意見の8%を大幅に上回っている。政治資金収支報告書の閲覧なり入手するに当っては、その経験者からすれば極めて不便であることが国会議員の先生方も理解されているのであろう。但し、どのように改善すればよいかの内容は今後検討を要する。たとえば閲覧時の謄写可能、情報公開の手続の簡略化、収支報告書そのもののインターネットによる開示、全国での開示の一本化(都道府県選挙管理委員会宛提出分を含む)等が考えられる。
   
2. 企業団体からの政治活動に係る寄付は、寄付を行っている企業等の決算報告書等で一層の透明性を高めるため、開示するのが望ましいとする意見は48%であり、企業の自主性に任せればよいとする意見の23%を上回っている。政治資金収支報告書に開示されているため、企業等の報告書での開示は不要とする意見が18%あった。
 政治資金収支報告書から企業毎の名寄せ(企業等毎に政治活動に係る寄付の全容を把握すること)は極めて煩瑣な手続であるため、寄付の全容を株主等に開示することは政治資金の透明性をより高めるものと考える。また、相互の照合により検証することも可能となる。さらに、企業等の政治活動に係る寄付活動の状況が開示されることにより、株主等による監視活動にも役立ち、寄付の意義、目的などについて誠実な対応が一層求められる効果にも期待できる。
   
3. 政治資金の会計制度は収支計算が基本とされており、資産、負債については補助的な報告になっている。政治団体の多くは資産、負債に重要性がなく、現預金の収支計算が中心である。しかし、企業の場合は、どれほどに小規模であっても複式簿記(正規の簿記の原則)により、会計記録を行うことが義務付けられていることを勘案すると、政治団体も同様の会計制度により決算報告書を作成するのはどうか、との質問を行った。会計制度の見直しを可とするものは50%であり、現状でよいとするものが41%であった。仮に貸借対照表を作成した場合、資産には現金預金、貸付金、立替金、車両、備品、敷金保証金などが、負債に未払金などが計上されるであろう。
   
4. 政治家の主宰する政治団体には、指定された資金管理団体以外に政党支部(必ずしも一つではない)、その他の政治団体がいくつも存在しているケースが多い。この場合一人の政治家に関係する政治資金の状況が個々の報告書だけではその実態が極めて分かりにくいという状況になっている。従って、各々の単体の収支報告書だけではなく、当該政治家の主宰する政治団体を連結(結合)する方式の改善が必要かどうかを尋ねた。その結果、改善が必要とする意見は53%を占め、現行でよいとする意見の14%を大幅に上回っている。連結もしくは結合することにより、一人の政治家を巡る政治資金の全貌が明らかになり、透明性が格段に向上すると思われる。
   
5. 政治資金政党助成法に基づく収支報告書は、公認会計士又は監査法人による監査が義務付けられている。この監査は現状どおり必要とする意見が68%であり、監査が必要としても監査の意義、目的の見直しが必要とする意見が25%であった。監査の必要性は十分に理解されているものの、現状の監査制度でよいかどうかの議論が必要とも考えられる。
   
6. 監査の必要性とは認められていたとしても、現状は政党助成法に基づく収支報告書に限られている。
   
  (図について)

 Aの部分のみが現行の監査対象であるが、資金の一部収支のみの監査では適正な監査ができないのではないかということを指摘した上でお尋ねした。 その結果、上図のAに加えてB、Cも監査対象とする必要があるとする意見が48%であり、現行でよいとする意見の27%よりも多かった。Aに加えてBも対象とする必要があるとの意見が14%であり、監査対象を拡大する意見は62%に上っている。
   
7. 組織活動費についてお尋ねしたものである。この組織活動費の支出は政党から政治活動費の目的をもって支給された議員名、金額、日付の記載は行われているものの、何に使ったかどうかは明らかにされていない。使途を明らかにすべきとする意見が45%であり、現状でよいとする意見は25%であった。
   
8. 政治資金は何によってまかなわれるのが適当でしょうかとのお尋ねをした。その結果、個人献金、企業献金、政党交付金セットとするものが42%であり、個人献金、政党交付金に限る(企業団体献金は除く)としたものは37%であった。
   
9. 全体的には政治資金収支報告書を中心とした現状の諸問題を改善したいという方向の回答であった。
   
 

以上

回答結果集計表
政治資金に関するアンケート調査の質問及び回答書
 
 

平成16年7月16日

提出件数 480件
回答数 77件
回答率 16%

日本公認会計士協会近畿会
社会公会計委員会   
 委員長 西野 裕久
政治資金小委員会   
小委員長 松山 治幸

(  )内にレ印を付して回答下さるようお願いすると共に、「その他」の場合にはその内容を是非ご記載下さるようお願いします。
 
A 政治資金の情報公開について
1. 政治資金収支報告書は、総務省管轄と都道府県選挙管理委員会管轄に区分されており、その閲覧もしくは情報公開に当っては、いずれの管轄であるかをまず把握し、各々の所定の場所に出かけなければなりません。情報開示請求をするにしても、各々に提出しなければなりません。閲覧は可能であるものの、謄写(コピー)は不可とされており、写しの入手のためには情報公開請求によらざるを得ません。官報もしくは都道府県選挙管理委員会からの公報により開示されているのは、要約されたものにすぎません。政治資金を国民による不断の監視と批判の下に置くことにより、政治資金の公明と公正確保を図ることこそ、政治資金規正法が目的としていることです。このような理念の下、現状の政治資金に係る情報公開の状況についてお尋ねします。
 
(1) (6)現状の開示方法は十分である
(2) (64)利用者(国民)からみてより使い易くするため、
開示方法の改善は必要である・・・83%
(3) (4)その他
(3) 無回答
2. 企業・団体からの政治活動に係る寄付は政党及び政党資金管理団体に限り、政治資金規正法により容認されています。この寄付の状況は、収支報告書及び官報等に掲載されています。ところで、企業が行った当該寄付の状況(相手先、金額、日付など)を当該企業が公表する営業報告書又は有価証券報告書等に開示(インターネットによる開示を含む)してはどうかという考えがあります。この件についてお尋ねします。
 
(1) (14)政治資金収支報告書等にて開示されているため、企業の営業報告書等での開示は不要である・・・18%
(2) (37)政治資金の透明性と明瞭性を一層高めるため、企業は政治活動に係る寄付の状況開示は行った方がよい・・・48%
(3) (4)どちらともいえない
(4) (18)企業の自主性に任せればよい・・・23%
(5) (4)その他
  (1)無回答
※(1)(4)複数回答有・・・1名
B  政治資金の会計制度について
1.現在の資金収支報告書は収支報告書が中心になっておりますが、複式簿記の手法により貸借対照表の作成も作成し、より適切な勘定科目に分類した分かりよい会計制度が必要と考えます。ご意見をお聞かせ下さい。
 
(1) (32)現状でよい・・・41%
(2) (39)資産、負債の対照表も含め、会計制度の見直しが必要と考える・・・50%
(3) (3)その他
  (3)無回答
  (注)資産とは、現金預金、事務所設備関係、車両、保証金などをいい、負債とは、借入金、未払金などを指します。資産と負債の差額は正味財産と考えられます。
2. 政治家は自らの資金管理団体を持っておられ、それ以外にも政党支部その他の政治団体を主宰されている場合が多い。従って資金管理団体だけでは当該政治家の政治資金の状況が把握できないと思われ、一人の政治家が主宰する政治団体の全てを連結もしくは結合して(合算)報告する方式が透明性をより高めるために必要とする意見があります。この件に関してお尋ねします。
 
(1) (11)現行の制度で十分
(2) (41)各々の単体だけでは実態把握が難しいため、連結(結合)方式等の改善が必要と考える・・・53%
(3) (17)どちらともいえない・・・22%
(4) (5)その他
  (3)無回答
C  政治資金の監査制度について
1. 政党助成法第17条に基づく報告書は、同法第19条により公認会計士又は監査法人による監査が義務付けられています。これは、国民の税金が投入されるため、その使途の公正性を確保する必要があるためと考えられます。本件に関連してお尋ねします。
 
(1) (53)会計監査は現状どおり必要である・・・68%
(2) (20)会計監査は必要であるが監査の意義、目的の見直しが求められる・・・25%
(3) (1)会計監査は不要である。
(4) (2)その他
  (2)無回答
  ※(1)(2)複数回答有・・・1名
2. 現状の公認会計士等による会計監査は、政党本部の政党助成金に基づく収支報告書に限られており、その他の収支報告書は、会計監査の対象から除かれています。資金は、紐付きにできないため、政党本部に入る資金(献金、党費、政党交付金、その他収入)、政治活動に要する支出の全てを監査対象にしないと適正な監査はできないという意見があります。そこで、本件に関連して、会計監査の範囲についていずれが適当とお考えかお尋ねします。
※無回答(8) 
  (注)政党支部は著しく多いため、一定規模以上のもの等に限定することは考慮するものとします。
組織活動費の開示について
 企業献金の多くは各政党の政治資金団体を通して入金され、各党の国会議員に組織活動費(政策活動費)として渡されています。各党の政治資金収支報告書には、資金を渡された国会議員名、金額、日付、住所の記載はありますが、使途は一切明らかにされていません。このことについてお尋ねします。
(1) (35)使途を明らかにすべきである・・・45%
(2) (20)現状どおりでよい・・・25%
(3) (10)どちらともいえない
(4) (7)その他
  (5)無回答
E  政治資金はどのような資金でまかなわれるのが適当とお考えでしょうか。
※ 無回答(7)
※ (3)(5)複数回答有・・・1名
※ (4)(5)複数回答有・・・1名
F  政治家と政治資金の関連で何でも結構ですから、ご意見をお寄せ下さるようお願いします。
政党別の回答数
自民党 20
民主党 42
公明党 8
共産党 2
社民党 3
無所属 2
所属政党等
ご 氏 名
(任意です)

ご回答ありがとうございました

本アンケートに関する問合せ先

日本公認会計士協会近畿会
大阪市中央区久太郎町2-4-11
クラボウアネックスビル2階  
TEL(06)6271-0400
FAX(06)6271-0415
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