取 材

第36回中日本五会研究大会

主催 日本公認会計士協会 中日本五会
 平成17年1月22日、大阪国際交流センターにおいて午前中に8つの自由論題の発表が行われ、午後から統一論題の基調講演とパネルディスカッションが行われました。朝早くから遠方の会員も自由論題の部にたくさん参加され、大変盛況な一日となりました。午後の統一論題の開始にあたり遠路東京から来ていただいた日本公認会計士協会の藤沼会長から挨拶があり、公認会計士業界の現状と課題について簡単に説明がありました。統一論題の部の後の懇親パーティーでも本日の論題の意見交換など余韻を残しながら会員の交流を深めていました。
自由論題の部(10:30〜12:00)
 今回は公認会計士業の幅広さを反映して8つの論題がありましたが、たくさんの会員が関心のある会場に参加し、ほぼ各会場満席で活況に自由論題の部が行われました。
(A) 民事再生法における事業計画案及び財産評定の参考書式
近畿会 井上浩一氏 新免和久氏 村井城太郎氏
近畿会法務会計委員会で作成された事業計画案及び財産評定の仕組みと利用の仕方を中心に解説されました。
(B) ベンチャービスネス事業計画作成支援の事例研究
近畿会 吉永徳好氏 浅野 豊氏 大保政二氏
バイオビジネスの起業サポートの研究事例について、弁理士や弁護士との連携による企業化案を3事例発表されました。
(C) 外形標準課税導入にあたっての検討課題
近畿会 大出秀徳氏
従来の法人事業税との比較や報酬給与額などの個別項目について解説されました。
(D) 内部統制について
京滋会 岩淵貴史氏
最近の内部統制の動向を米国と日本を中心に解説され、企業経営や財務諸表監査における内部統制と公認会計士の役割を発表されました。
(E) 統制リスクの評価について
東海会 板倉弘典氏
内部統制概念の変化およびビジネス・リスク・アプローチ導入に対応する「統制リスクの評価」の変化について、新しいアプローチと監査基準委員会報告書(公開草案)を関連付けながら説明されました。
(F) 企業資金フローの分析検証
東海会 小久保收教氏
企業資金について経営分析、資金計算書の発展の観点から説明があり、キャッシュフロー経営やキャッシュフロー分析について事例を入れた解説がありました。
(G) 公認会計士のための国際相続法
兵庫会 谷 保廣氏
家族生活や資産運用の国際化の中での国際相続法を事案を交えて解説をされました。
(H) ディリバティブ取引のヘッジ会計について
北陸会 木津陽二朗氏
ヘッジ会計の適用要件を満たす金利スワップ・キャップ取引について留意すべき適用要件や有効性の判定基準を説明されました。
統一論題の部(13:00〜17:00)
 「会社法制の現代化」について最初に基調講演が前日本公認会計士協会会長 法務省法制審議会会社法(現代化関係)部会委員 奥山章雄氏からありました。次のパネルディスカッションでは「会社法制の現代化〜重要改正点の公認会計士業務への影響」についての論点をパネリスト柏野博英氏、富山淳一氏、神田正史氏、佐野正人氏が発表し、この各論点に関してコーディネーター蔭山幸男氏が質問しました。その後会場の会員との活発な質疑応答がされました。
基調講演
 公認会計士業務に関連する重要事項が多数含まれる「会社法制の現代化に関する要綱案」が平成16年12月8日に法務省の法制審議会会社法(現代化関係)部会において決定されたこと、今後平成17年2月に法制審議会の総会において「要綱」として決定され法務大臣への答申後法案化され通常国会に上程される予定で、ほぼその要綱の内容が固まったと報告がありました。
 改正の基本方針である商法二編、有限会社法などについての平仮名口語体化とこれらの法典を一つにする商法から会社法への再編を行うこと、また会社に係る諸制度間の規律の不均衡の是正と最近の社会情勢の変化に対応する各種制度の見直しなどの実質的な改正であることについて説明されました。
 これらの改正の中で公認会計士協会が提案する法定監査範囲の拡大(資本金3億円以上又は負債総額60億円以上とする)や完全子会社への会計監査人設置の特例などについて他の部会員(経済界、法学学者など)との意見の相違はあったが、公認会計士の説明をし一定の理解を得られたこと、今後の課題として@具体的な規定は施行規則による部分が多々ありそれへの適切な対応、A会計参与制度の運用への対応、B中小会社への任意会計監査人の設置への対応、C合同会社の動向と会計監査の要否、D監査法人への合同会社の有限責任規定の準用、E定款自治拡大に伴う定款の重要性などがあることを詳しく解説され、今後も継続した対応が必要であることを強調されていました。
パネルディスカッション
 基調講演に続き各パネリストから「会社法制の現代化」の論点について発表が次々に行われました。
 最初に北陸会の柏野博英氏から「会計参与」について、会計参与制度の仕組み要綱案の解説が行われ、一定の適格者(公認会計士または税理士)が会社の内部者として取締役などと計算書類を共同作成すること、適用対象会社は大会社も適用可能であるが主には中小会社となりその計算書類の信頼性向上を図ることを目的としていることなどについて説明されました。
 次に京滋会の富山淳一氏から「内部統制システムの構築の決定・開示」について、コーポレート・ガバナンスや委員会設置会社のチェック機能と仕組みの解説があり、内部統制システムの営業報告書への記載により会社の一番の基本事項を株主が確認できるようになることや今後の内部統制監査への発展の可能性が示されました。
3番目に兵庫会の神田正史氏から「会計監査人の会社に対する責任」の発表があり、公認会計士が株主代表訴訟の対象になることについて、監査法人の指定社員制度や社外取締役の責任との整合性や海外の公認会計士の責任との比較で詳細に解説されました。
 最後に東海会の佐野正人氏から「組織再編」の論点について、合併等対価の柔軟化、簡易組織再編の要件緩和、略式組織再編制度の創設などを、社会経済情勢の変化への対応の観点から発表されました。
 続いてコーディネーターの蔭山幸男氏から、内部統制システムや会計監査人の登記制度について、会計監査人が会社に対して責任を負うケース、組織再編での少数株主の締め出しの問題などについての質問がされました。
 会場からの質疑応答も活発にあり、会計監査報酬と会計参与報酬の比較や海外の監査報酬との比較、現行法制での少数株主からの買取請求との関連や株価評価の違い、会計監査人の選任と登記手続、必要な法定監査を受けていないことや決算公告をしていないことへの対策、将来の内部統制監査の実施可能性、会社規模で適用される会計処理が異なることの問題などの質問・意見がたくさん出ました。
 今回のテーマも前回の公認会計士法改正と同じように大きな変更になり影響が大きいこともあり、会員も熱心に参加され大変有意義な研究大会であったと思います。

  

(取材:会報部 松尾 雅芳)