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小規模学校法人における銀行等取引の残高確認について

澤田 義実

 先日、関与先にMS銀行より、この3月末分より監査用残高証明について525円から3,150円に引き上げる旨の通知が入りました。昨年度のTM銀行の2,100円に次ぐ大幅値上げです。私どもが関与する学校法人は小規模でして、百円、十円単位の収入の積み重ねによって学園を経営している状態ですので、事務担当の方は大変驚いておられました。
 明確に申せば、幼稚園にとって3,150円は大金です。数件あれば保育料1ヵ月分くらいになります。また、ペイオフ制度導入によって取引する金融機関の数は増やさざるを得ません。
 残高証明は銀行にとっては手間のかかる殆ど儲けのない仕事なのでしょうが、銀行というのは公的資金が注入されたように一私企業ではなく、一種の社会的公器なのではないでしょうか? それと、どの銀行もコンピュータ化が進み、法人・取引先毎の取引内容の把握は簡単になっているように思います。
 ちなみにMS銀行の今回の手数料値上げリストを見ますと監査用証明書がダントツの値上げで6倍になっていますが、残高証明以外は最大で2倍に留まっています。残高証明に限って言えば、a)個別方式(銀行制定書式)は525円が840円、b)銀行制定書式以外証明書は525円が2,100円、c)監査法人向証明書は525円が3,150円にそれぞれ手数料が改定されています。さらに申せば、監査法人向証明書は銀行制定書式以外証明書よりも定型化されているので、様々な書式に対応しなければならない銀行制定書式以外証明書よりも手間もかからず、手数料は安くてしかるべきではないかと思います。
 この3月末残高についての確認状に「ご回答は貴行所定の様式でも構いません。出来れば、これが全取引である旨をご記載下さい。」と確認状の末尾に書き、同文のメモを入れましても、手数料は3,150円である旨の通知とその他手続等につき問い合わせがありましたので、値上げの理由を聞いてみましたが、「当行制定以外の書式は手作業のためコストがかかる。監査法人からの確認依頼が時期的に集中する。この値上げは当行の施策上の問題である。」との回答でした。
 こちらも「貴方の銀行は人件費がそんなに高いのですか? 銀行も3月決算ではありませんか?」と言いたくなりますし、最後の「いくらにしようが銀行の勝手」と言わんばかりの発言は監査制度に対する挑戦とも受け取られかねません。
 ところで、何年か前に弁護士の先生と一緒に仕事をしたことがありますが、特定の被保険者の死亡保険金について、所属弁護士会会長の推薦状を付けて全生命保険会社からの回答状を請求しておられまして、そのときの料金が5千円程度であったと記憶しています。一つの保険会社当たり、せいぜい数百円の計算でしょうか、1行1支店での3,150円はこれに比べても高いと思います。
 また、これも聞いた話ですが、アメリカではクーポン券が発行されていて、これを銀行取引確認書に同封すれば、回答の証明手数料はこのクーポン券によって統一的に支払うことが出来るそうです。金額は忘れましたが、常識的な金額であったと記憶しています。
 さらに、銀行もこの時期は新入社員の方が多いせいでしょうか、「これは何ですか?」といったご照会も多く、銀行は各支店に確認状のひな形を配付していないのだろうか? 協会はさてまた、全銀協などの業界団体と事前にお話し合いをされたのでしょうかと訝るようなことも毎年のこととなっています。
 お話は変わりますが、確定申告のシーズンが終わって、恥ずかしながら、CPEの不足単位を補うため、慌てて「職業倫理関係集研修CD-ROM」を取り出し、休日や仕事の合間に「公認会計士の職業倫理」について、多くの講演を拝聴いたしました。その中で、アメリでのお話が多く出てきます。そこで、鑑みるに上のクーポン券制度は一種の監査制度ひいては公認会計士の独立性を擁護する制度ではないでしょうか? 我が国も同様の合理的な制度の創設をされますことを強く望むところです。
 上場企業のように財政的に余裕があり事務担当者が揃っていれば、手数料も大した金額ではありませんし、各銀行への手数料の支払いなどについても十分にフォローできるのでしょうが、小規模な学校法人にとっては大きな問題です。また、商法・有報などの監査にとっても有益な制度だと思います。ついでに申し上げれば、簿外の取引が無いことの裏付けを得るためもの強力な手段ともなるのではないでしょうか?
 最後に会員の諸先生はどのようにされておられるのか存じませんが、私は、(既に手数料の自動振替手続をしている金融機関を除き)定額小為替を同封し、お釣りは切手等でも結構ですとメモを入れて対応していますが、三分の一くらいの割で確認制度、手数料の支払い方法、手数料領収書の宛先、お釣りの出し方などについてお問い合わせがあり、その対応に追われます。
 そこで、会員の諸先生方にご教授賜りたく、良い方法があればと筆を執りました次第です。よろしくご指導のほどお願いを申し上げます。
(Eメール:knk-10577@jicpa-knk.ne.jp