報告

上海国有企業監事会代表団の近畿会訪問について

 
はじめに
 
  10月28日に、上海国有企業監事会代表団6名(上海医薬(集団)有限公司監事会弁公室副主任、上海国有資産監督管理委員会助理調査研究員他4名)の来訪をうけました。
 同代表団の今回の来日の目的は、日本における企業の監査制度の視察であり、国営から民営化を行った企業等を訪問されると同時に、監査の専門家として会計監査人の視点からの意見を聴集するために、近畿会を訪問されました。
 同代表団は、10月28日午前中JR西日本を訪問し、主に監査役・内部監査制度についてヒアリングを行ったあと、午後に近畿会を訪問され、約3時間にわたり日本における会計監査人に関する制度、現在の課題等についてのヒアリングと意見交換を行いました。
 
上海国有企業監事会代表団について
 
 上海国有企業監事会は、国有企業を監査する監査委員の協会に近いものと思われます。(以下、「国有企業の監査委員会制度を取材(大遊協のページ・海外通信)」より抜粋要約。)
 中国では、「中華人民共和国企業法(1993年制定)」により監査委員会(監事会)の諸事項が制度化されました。さらに、「国有企業財産監督管理条例(94年公布)」により、国有企業の監査委員会の組織、職責などが明確に規定されました。
 中国における監査制度には、以下の2つのものがあります
@ 多元化投資企業(株主が複数の企業):
  監査委員は、法律に基づき株主総会で選出。監査委員会(監事会)は、株主代表と従業員の代表からなり、通常3人以上で構成される。
A 国有100%出資企業:
  監査委員は、出資側(政府)の派遣による出向者。監査委員会(監事会)は、国有資産管理部門、政府監督部門の責任者と、社会的に著名な専門家などで構成され、社外委員は通常3分の2以上を占める。一方、社内からは、監察担当責任者と関係監督部門の責任者が参加する。
  また、上海市では、1997年に制定された「上海市国有資産運用監督に関する意見書」に基づき、監査委員会の組織作り等を強化しています。また、本制度は、法人による管理体制の一部として、国有企業の改革を推し進める上で重要な役割を果たすことが期待されています。
 
質疑応答・意見交換
 
   近畿会概要・監査法人の概要・CAPA大阪大会・上海公認会計士協会との提携について等を説明させて頂き、必要に応じてその都度の質疑応答・意見交換を行いました。
 同代表団の関心事は、まさに現在の日本の監査制度が直面し、取り組んでいる問題と類似しており、活発な質疑応答が行われました。主要な論点は以下のとおりです。
@ 会計監査人の独立性の問題について:
  監査役・会計監査人・内部監査との連携、会計監査人の選任方法、これに関連する独立性の問題について等が説明されました。
 特に、現在日本で検討されている、会計監査人の選任に際しての監査役の合意、パートナー・ローテーション、会社と会計監査人の意見の相違があった場合の対処方法等について、非常に興味を示されました。
A 証券市場の健全性を保つための取り組み:
  説明責任、開示の透明性強化や、最近話題となっているマネーロンダリングの防止等に対する取り組みとしての、ディスクロージャーの強化、行政の規制のあり方等が議論されました。
B CSRに対する取り組み:
   経済・社会・環境が三位一体となった、持続可能な社会に向けてのあり方と、これに対する監査人の役割について、世界及び日本における状況が説明されました。
 中国においても、持続可能性は最近非常に問題視されており、中国政府の国策の一つとして、「調和のとれた社会」が上げられているということです。これには、持続的発展とリサイクリング(循環的利用)等が含まれるとのことでした。
   
最後に
 
   中国第二の都市である商業都市上海と大阪とは、その位置づけにおいて類似点が多く、お互いに友好的な印象を持てた来訪でした。また、問題意識も日本と類似していることが強く感じられました。
 近畿会は今後、上海公認会計士協会との友好合意をすすめていく予定です。会計士協会同士の提携のみならず、今後とも多用な側面から上海との関係を強化し、関西経済、ひいてはアジア経済の発展に資することができればと考えております。

(文責:阿川)