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最近の中国事情 |
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山下 進 |
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1. | 住宅 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本では戸建マンションを問わず、住宅業者がすぐに住めるように内装、照明、キッチン等、全て完備して売りに出される。中国の場合マンシヨンは外見の構造だけで床はコンクリート丸出しで購入者が床、壁、内装全般を自ら各工務店、専門業者に注文して仕上げる。北京や上海は夫婦共稼ぎが常識であり、土曜や日曜日に夫婦で物件を見て回り、間取り、床、壁、キッチン、トイレ等を自ら決めて、契約をして各業者に発注する。これはレイアウトや家具の選択に当たり若い人の楽しみでもあるようだ。ところが、最近の好景気により高額所得者が増加しており、あれこれと手配する暇もない若手経営者達は、マンシ
ョン付帯設備をした物件を購入する傾同が見られる。日本の状況に似てきている。今後はこの傾向がますます増加するものと思われる。上海の高級マンシヨンの価格は面積100平方メ
ートル前後で約1100万円〜1700万円(78万〜121万元)と言われている。 しかし一般階層の住宅は未だ貧弱で公営のアパートが大半であり、北京の郊外には音ながらの路地長屋(胡同)も見かけるが、これは都市景観上、良くないとして政府が来たるオリンピックをにらみ、敢り壊しを始め、そこに高層アパートを続々と建築している。 |
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2. | 中国の消費構造 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
国民所得の毎年の増加に伴い消費構造は大きく変化している。 所得に占める消費の割合(2003年、中国国家統計年艦、ジェトロより) |
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2005年統計はまだであるが、教育文化、住居、通信費は更に伸びているものと思われる。 経済成長率は8%台(北京、上海は9%台)で伸びているが、この傾向は2008年の北京オリンピック、2010年上海万国博覧会まで続くものと考えられる。 当然上述の消費構造も変わり、先進国に近づくものとなろう。 |
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3. | 中国の地域別一人当たり年収(2004年、中国企業と経営より) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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北京や上海の年収が高いのは、一部の成金業者、不動産屋等とIT産業の情報通信分野での高額所得者が集中しているため平均として高い数値を示しているものと思われる。 これはあくまで平均の話で一般市民の年収は相当低いとみてよい。 |
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会計士の年収がないのはまだ一般にこの職業が認知されていないからで、7.8年前までは政府が税務官吏を会計士として任命していたのである。数年少し前から政府が統一して国家試験を課している。 上紀高額所得者は人口の約1%といわれ、中間層で10%、労働者、農民階層が全体の80%強を占めている。一昨年私が上海を訪れたときは、浦東地域(プートン)は高層どルが乱立しており、東京を凌駕する勢いであった。日本の森ビルが百階建てのビルを建築する話で沸き、欧米の銀行も相当進出している。30分も車で郊外に出ると全くの農村地帯で日本の昭和20年、30年代に相当する平屋の民家が目に付く。現在更に都市化が進み貧富の差は拡大、又都市と農村の所得格差も大きいものがある。この資料も現在はかなり高いものになっているのではないだろうか。 |
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4. | 税務、会計 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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外国法人に対する優遇税制に対し最近は批判が高まり、中国政府は2007年以降見直すと公表している。外国法人の駐在事務所は情報収集が主な仕事で本来営業活動を行ってはならないとされている。しかし、商社等の駐在事務所は営業拠点として機能しているため、営業活動を行う法人として駐在寺務所は法人税を納めているようだ。 所得税5〜45%累進課税、例えば一ヶ月給与所得500元税率5%の所得税、500超2000元10%の所得税、2000超5000元は15%の所得税で9段階となっている。 国内・国外の所得が全て課税対象となるが、5年未満の駐在者は中国の源泉所得だけが対象となる。しかし、中国に出向して中国子会杜で働く場合、親会杜から家族手当等給与の補助を受けている場合は、これは中国で働いて得た所得の一部と看做されて課税される場合もあるので、要注意である。 |
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消費税 わが国の消費税と異なり、すべての物品にかかるものではない。特殊な商品、酒、煙草、奢侈品、高級装飾品等にかかる。旧物品税に似た感がある。 会計 2002年より新会計制度を採用、国際会計基準の採用を可とした。わが国と同様会計と税務に相違があり、大半がにかよっている。 |
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会計上の引当金はつぎのものがある。 貸倒引当金、短期投資評価引当金、棚卸資産評価引当金、長期投資減損引当金、固定資産減損引当金、建設仮勘定減損引当金、無形資産減損引当金、及び委託貸付金減損引当金。何れも会計上必要と認められた額を計上する。貸倒引当金は税務上金融機関についてのみ認められたもので、貸付債権に対して3%計上が可能とされている。一般企業は実質基準で計上する。 委託貸付金減損引当金は貸付金元本の評価性引き当てで、わが国では貸倒引当金に相当する。その他の評価損引当金や減損引当金は有税処理となる。減損引当金は毎期洗替え制度で直接減額方式はないようである。期末に時価が好転して前期に比べて上がれば引当金の戻入益が生じる。IAS方式である。退職給付引当金はない。退職金制度がないためで、給与の19%を国の年金制度として積み立てている。税効果会計は上場会社には要請されているが、一般企業は任意である。 固定資産 計上基準 取得原価基準で一個,(一台、一組)2000元以上耐用年数2年以上の機械設備、工具器具備品等 償却方法 原則、定額法 耐用年数 建物(最短)20年、構築物20年、機械装置10年、車両運搬具、器具工具5年、案外シンプルである。 連結会計、税効果会計、キャッシュフー計算書等は日本の会計とほぼ同様である。 |
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おわりに | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本稿は4年余りの中国語学校での学習、北京大学での夏期留学、北京の某会計事務所での研修等を通して入手した資料、国内の関連図書を基にしたためたものである。参考文献、企業会計制度(中華人民共和国財政部)、会計学(中国人民大学出版)、中国企業と経営(角川書店)、中国の仕組み(中経出版)、CHINA2005(ジェトロ、世界経済情報サービス)等 |