シリーズ女性リーダーに聞く 第3回

 

「“M&A”と訴訟」について金井美智子先生に聞く

女性会計士委員会

日 時: 2005年12月3日(土) 14:00〜16:00 
場 所: 日本公認会計士協会近畿会 大会議室
 今回は、活況を呈するM&Aにおける造詣を深める意味も込め、大江橋法律事務所のパートナーである金井美智子弁護士をお招きし、「“M&A”と訴訟」というテーマでお話を頂きました。参加者は23名、うち、男性も5名程度参加いただきました。
 金井弁護士は、M&A、国際取引、知的財産権他を専門分野として取り扱われており、司法試験合格後、ニューヨーク司法試験にも合格され、海外の法律事務所でも勤務経験のある国際派でいらっしゃいます。
 当日は、11枚にわたるレジュメをご準備いただき、M&Aにまつわる訴訟について、株主代表訴訟類型、スキームへの反対類型、M&A契約違反主張類型、労働争議類型別にそれぞれの具体的事例をもとにお話いただきました。
 特に印象深かったのは、M&Aの結果、会社が損失を被った場合株主が経営者を訴えるといった、いわゆる株主代表訴訟類型における“ビジネス判断の原則”という司法の見解です。これは“経営者が判断の前提となる事実の認識に重要かつ不注意な誤りがなく、またその意思決定の過程、内容が企業経営者として特に不合理、不適切なものといえない限り、その措置にかかる経営判断の原則は裁量の範囲を逸脱するものではなく、取締役としての善管注意義務または忠実義務違反に違背するものではない”というものであり、M&Aに際してわれわれ公認会計士が実施する財務デューデリジェンスも、経営者が行う事実認識のためのプロセスとして重要な位置づけになると考えられます。
2005年の話題でもあった敵対的買収とその防衛策の観点から、ニッポン放送とニレコの事案についてもご解説いただきました。株主構成の変更を主要な目的とする新株等の発行を許容することは商法の法意に反するものであり、“敵対的買収が真摯に合理的な経営を目指すものでなく、敵対的買収者による支配権取得が会社に回復し難い損害をもたらす事情がある場合には、取締役会には一種の緊急避難的行為として相当な対抗手段を講ずることが許容される”ということです。また、取締役の決議による事前の対抗策として新株予約権の発行を行うためには、株主総会の意思が反映される仕組みとなっていること、条件成就に関する取締役会の恣意的判断が防止される仕組みとなっていること、買収とは無関係の株主に不足の損害を与えるものではない
ことがポイントになるとのことです。

「シリーズ 女性リーダーに聞く」は、土曜午後のティータイムに行うことが多いことから、毎回、講義後にお茶とケーキを楽しみながら、当日の研修に関する質問から雑談まで、ザックバランな意見交換が行われます。今回も、研修に関する質問に始まり、公認会計士が監査で実施する弁護士確認について等、多岐にわたる意見交換が行われました。特に働く女性としてどのように仕事を続けてこられたかというお話もとても印象に残るものでした。女性の場合、結婚や出産等、男性と同様に働けない時期を経る場合があります。私の友人や同僚もそれに悩みながらも仕事を続けたり、あるいはそのジレンマのあまり職場を去ったり致しました。金井弁護士は、自分でコントロールできるサイズの仕事を行い、様々なジレンマを捨て、その時期毎に上手く仕事とお付き合いされたようです。男性にとっても、女性にとっても、仕事とどう付合っていくのかの答えはひとつではありませんし、女性だけでも答えが出ないものと思われます。
“シリーズ女性リーダーに聞く”では、今後もトピックなテーマを提供していきながら、各界で活躍されるリーダーとの交流を深めたいと思いますので、男性、女性を問わずご参加いただければと思います。

(文責:片岡 万枝)