取材

第40回定期総会&会員の声を聞く会に参加して

 
 平成18年7月4日、東京の帝国ホテルにて、日本公認会計士協会第40回定期総会が開催されました。近畿会の総会には何回か出席したことはありますが、本部の定期総会に出席するのは初めてで、近畿会と同様のシチュエーションをなんとなく描いていたのですが、開催定刻時間ぎりぎりに会場に到着すると、椅子だけを並べた会場が人で埋め尽くされているのにはびっくりしました。また、座る席を探すことに気をとられ、写真撮影できる位置ということに気がおよばず、写真は本部よりの提供していただきました。
総会の式次第は下記のとおりです。
会員数:22,243、出席者:792人、委任状:6,013
1. 開会の辞 副会長 西田 隆行
2. 会長挨拶 会 長 藤沼 亜起
3. 来賓挨拶 金融・経済財政政策担当大臣 与謝野 馨
    東京証券取引所社長 西室 泰三
4. 黙祷    
5. 議長・副議長任命    
6. 議事    
(1) 報告事項 第40事業年度事業及び会務報告
(2) 審議事項 第1号議案〜第9号議案
7. 協会学術賞授与    
8. 会員表彰    
9. 感謝状贈呈    
10. 閉会の辞    
 
 最初に会長挨拶と来賓挨拶について簡潔に報告したいと思います。
 会長の挨拶では5月10日の金融庁から法人会員への2ヶ月の業務停止処分、また、6月30日の公認会計士審査会から4大監査法人への監査結果の報告、勧告等をうけたこと、協会の自主規制機能の一層の発揮、公認会計士の信頼性の確保、監査時間の拡充の確保、監査事務所の品質向上、上場会社監査事務所部会の創設・登録制、品質管理レビュー体制の充実等について話題とされました。 与謝野金融大臣については、最近の会計監査の忌避事例、4大監査法人の業務改善の勧告、監査法人のあり方、今後の厳正な監査の更なる実施をしていただきたいとの旨の挨拶を述べられました。
 西室泰三東京証券取引所社長においては、会長、金融大臣との話題の重複を避けられ、東京証券取引所のシステムトラブル、今後の東京証券取引所のシステム関係の再建・構築について述べられ、最後に公認会計士との連携強化を図っていきたいという旨の挨拶をされました。

次に、澤田副会長のもと物故者(123名)の冥福を祈って黙祷が行われました。
 
<報告事項:第40事業年度事業及び会務報告>
 
 議長 福田会員、副議長 真下会員、林会員のもと審議が始まりました。
 第40事業年度事業及び会務報告が黒田常務理事より報告されました。報告内容は議案書では100ページにおよぶものでしたが、上場会社監査事務所部会(仮称)の創設構想、登録制が印象に残りました。
 事業及び会務報告に関して事前質問が、近畿会の会員から12項目におよぶ質問が寄せられ当該質問と、会場からの3名の質問への回答でほぼ1時間が費やされました。
 質問事項の要旨は下記のとおりです。
Q1. 議案書の送付が遅い
Q2. カネボウ粉飾の幇助で業務停止をうけた中央監査法人からの謝罪を総会でしてもらいたい
Q3. 協会品質管理レビューは監査の不祥事をの防止に有効であったか
Q4. 監査の不祥事について、問題点・改善策の会員への 情報提供
Q5. カネボウ事件について収拾した情報の会員への情報提供
Q6. 協会の自主規制団体としての役割を果たすために積極的に情報公開をするべき
Q7. 監査不祥事と監査時間数とには因果関係があるのか。協会はその検証を行っているのか
Q8. 綱紀審査会が扱っている案件で相当の年月を要しているが、なぜ審議が遅れているのか
Q9. 上場会社事務所部会・登録制度は法的に許されるも のではないのでは
Q10. 研究大会の発表者の募集・選考過程について
Q11. 協会は会計基準の設定主体ではないのに会計基準や監査基準を策定しているのは何故か
Q12. 会員の税務、会計、倫理等協会への質問への対応 が不十分であり、会員サービス業務の充実をはかってほしい
 上記質問に対して、黒田常務理事が対応されました。当該質疑については例年JICPAニュースレターに掲載されていますので、詳細についてはニュースレターを一読していただければと思います。
 会場からの質問は、カネボウ事件関係等粉飾にかかわること、四大監査法人への改善勧告、綱紀案件等についてでした。これは、近畿会総会での質疑応答を彷彿させられしました。会場の質問に対しては藤沼会長、増田副会長、澤田副会長、黒田常務理事が対応されました。
 
<審議事項>
第1、2号議案 第40事業年度計算書類・総括計算書類承認の件
 小島常務理事が説明され、監事より監査結果の報告をされ承認可決されました。当該議案に対する事前質問の要旨は下記のとおりです。
Q1. 監事監査はどのように実施されているか
Q2. 収支計算書上、品質管理レビュー関連の収支額、CPE関連の収支額をわかるように記載してはどうか。
Q3. 未収会費の減少理由
Q4. 海外諸団体等活動費の内容
Q5. 分担金支出の内容
Q6. 各国別への分担金支出の内容
Q7. 会員更正自家保険引当金の計算方法及び当期増加額の計算方法
Q8. 会費関係で、商法と証取法監査の監査報酬が区分されている場合加算業務会費をどのように計算されるか
Q9. 会社法の会計監査人と証取法の会計監査人が同一でない場合は加算業務会費はどうなるのか
会場からの質問は、
地域会の剰余金の資金を有効に活用すべきでは
地域会が弱体化している。本部業務の一部を(ex。資格証明書の発行業務)地域会へ権限委譲する等、地域会の活性化を図ってはどうか
上記質問については、藤沼会長、小島常務理事が対応されました。
第3−1,3−2号議案 協会組織ガバナンス改革関係(機関構成)
第4−1,4−2号議案協会組織ガバナンス改革関係(役員選出方法)
 
 黒田常務理事より改革内容が説明され承認可決されました。主な内容は、会長、専務理事が有償となること、会長の選出方法が会員選挙から本部理事の選挙に変わることです。
 当該議案に対する事前質問は下記のとおりです。

定数内連記制は廃止し、1人1票の投票制度にすべきで は。また、他士業で役員選挙で定数内連記制を実施している例はあるのか。
会場からは、

役員の報酬支払対象は会長、専務理事だけでいいのか。会長は常勤と明記されていないが実質は常勤ではないのか。
 上記質問に対しては、山崎副会長、黒田常務理事が対応されました。
第5−1、5−2号議案 協会組織ガバナンス改革関係(監査業務審査機構等)
 椿常務理事より説明があり、承認可決されました。
 事前質問はなく、会場より、綱紀審査会(答申留保等)、監査業務審査会等についての質問があり、黒田常務理事が対応されました。
第6−1,6−2号議案 会社法の施行、公益法人会計基準の改正に伴う快速の一部に伴う会則の変更承認の件
 奥山常務理事より説明があり承認可決されました。
第7号議案 第41事業年度事業計画承認の件
第8号議案 第41事業年度収支予算書案承認の件
第9号議案 第41事業年度収支予算書総括案承認件
 黒田常務理事、小島常務理事から説明があり承認可決されました。
事前質問は下記のとおりです。
Q1. 綱紀事案答申結果の公表の迅速化、綱紀審査会の運 営及び綱紀事案審議の迅速化について説明してほしい
Q2. 「自主規制の強化に向けた施策等の検討」について説明してほしい
Q3. 資金計画と予算の関係を明示してほしい
Q4. 国際関係の主な支出の海外諸団体等活動費と分担金支出についての予算の内容を説明してほしい
会場から、

4大監査法人への業務改善の指示・勧告について協会として公認会計士監査審査会への適切な対応、品質管理レビュー体制の更なる充実を図ってほしいという意見、
中小会計事務所への施策について、
JICPAジャーナルの内容について
の意見がありました。
 
<会学術賞の授与>
 学術賞として下記の3著書に授与されました
  藤田啓司 「現代資産会計論」
  柿崎 環 「内部統制の法的研究」
  桜内文城 「公会計」
 学術賞―MCS賞として下記の著書に授与されました。
  岡本享二 「CSR入門」
 
<会員表彰贈呈>
 226名の方が表彰規程に基づいて表彰されました。
今回は、100歳以上かつ公認会計士登録の期間30年以上の会員 大槻信夫会員が代表して挨拶されましたが、100歳の年齢とは思えないほど足取りもしっかりしておられ、挨拶の中で「私の短い人生で・・・、車の運転も昨年卒業・・」という言葉には会場から笑いが発せられ、ユーモアのある挨拶でした。
 
<感謝状贈呈>
川島正夫会員 寄付金 総額3億円
  国際職業会計人養成のための奨学金の寄付
  総額3億の寄付には正直驚きました。
 
<会員の声を聞く会>
 活発な質疑もあり、若干予定の時間が過ぎましたが、総会に引き続き会員の声を聞く会が開催されました。
東海会、東京会の会員から、下記のような意見、質問があり、協会の担当役員が真摯に対応されました。
集合研修について、
中小企業の財務諸表の信頼性の確保についての会計士の役割について
監査法人設立の際の社員の人数について
CPEが強制ということに疑問があるとの意見
自主規制の度合について日本と米英との比較・日本ではどういう方向に持っていこうとしているのか
一時会計監査人について

 以上、午後1時から始まった総会は途中10分ほどの休憩を挟み5時間に及ぶ長時間となり、次の懇親会が予定通りに始まるのか関係者はやきもきされていたかもしれません。
 近畿会の総会、本部の総会と今回両総会に出席し、感じたことは、昔に比べ意見交換が多岐にわたり、深刻な案件となりつつあるということです。
 会計士としての社会的使命を果たすこと、信頼を維持し続けることが求められていることがひしひしと感じられた半日でした。
 なお、本部総会についての質疑内容(Q&A)の詳細はJICPAニュースレターに掲載されますのでぜひご覧ください。

(取材:会報部 林紀美代)