特集

開業奮闘記
「独立後の1年間を振り返って」

松岡 宏治

 
 独立開業して、はや1年半ほどが過ぎたころ、突然、私の事務所に近畿会から手紙が到着。いつもなら「また、書籍の案内かな?」と思い、開封せずに捨てるところでしたが、偶然、開封してみると、なんと、「近畿CPAニュースへのご寄稿のお願い」というタイトル。続けて読んでみると、「●●先生のご紹介により、「開業奮闘記」をご執筆頂けますこと厚く御礼申し上げます」という文字が・・・
なんじゃこりゃ?誰かの間違いでは???
見なかったことにして、知らないふりをしようと決めていたら、その手紙が届いたあと、今度は、以前勤務していた監査法人の上司であった会報部長様から、直接、携帯に電話がかかってきて、「頼むわよ!」と、念入りな依頼を受けてしまいました。
そんな訳で、特に面白い話もないのですが、「独立当初に持っていた気持ちを思い出す良い機会かも?」と前向きに考えることとし、パソコンに向かうこととしました。

 簡単に現状をご報告させていただきますと、現在は、大阪市内に事務所を構えて、事務員も雇っておらず、一人ぼっちですが、元気にやっています。また、さまざまな方のお陰をもって、それなりのクライアントも増えてきており、感謝の気持ちで一杯です。

 私は二次試験に合格した当時から、「将来的には独立したい」、「30歳で独立!」というふうに考えていました。ただ、実際には、計画的に独立したというものではありませんでした。監査法人での日々の業務に追われ、30歳を過ぎても独立の夢については、すっかり忘れていました。ところが、いつもどおり仕事していたある日、「こういうことがやりたかったのかな?」とふと思いつき、そう思い出すと、「こういうことがしたかったのではない。」、「こんなことをいつまでも続けていてはいけない。」、「早くこんな生活から脱出しないといけない。」と気持ちがどんどん退職に傾いていきました。そういう経緯で、上司に退職の意思表示をして、具体的なビジョンもないまま、独立することとなりました。独立を決意したものの具体的なビジョンも今後の収入の目処もなかったのですが、「まあ、なんとかなるだろう」と軽い気持ちでした。当然、独立するに当たっては、「仕事がなかったらどうしよう。」、「監査法人に残っていた方が良いかもしれない」とかさまざまな不安がありました。しかし、独立開業して、良かったと思うか、やめておけば良かったと思うかどうかは、実際に独立してみないと分からないことであり、駄目なら駄目で仕方ないと思うようにしていました。

 このような形で開業を果たしたのですが、このとき、これだけはやろうと思って決めていたことが二つだけあります。一つは、仕事の予定がなく、人と会う予定がなくても、どんなに暑い日でも、毎日スーツを着て、ネクタイを締めて外に出ようということ、もう一つは、外に出ても予定がなければ、パチンコ屋さんにでも行くだけですから、事務所をちゃんと構えて、暇な時は勉強でもしておこうということです。生来の怠け者である自分の性格からすると、自宅にずっといても無駄に時間を浪費してしまうだけだろうと、そのように考えました。
 独立して1年半ほどが過ぎ、最近は、ジーンズにTシャツ姿で仕事することも多く、独立当初に思っていたスーツにネクタイというスタイルではありません。そう思うと、弛んでいるのかな?と思いますが、現在でも、土曜日でも日曜日でも予定のない時は事務所に行くようにしており、現在も継続しています。
 独立当初、することがなかったため、過去にお世話になった方たちに、挨拶周りをずっとしていましたが、その方たちの中から、激励の言葉や仕事が頂けたりして、非常に幸せでした。
 今後、独立開業を考えている方々にも、お勧めしたいことは、独立当初、仕事がなくても、無駄な時間の使い方をしないで、暇なときこそ、時間の使い方を考えることが必要なのではということです。

 私自身も今回、原稿を書いていて、それを再認識し、今後も慢心することなく頑張っていかねばという気持ちになりました。