環境管理会計は、環境+管理会計と捉え、従来の管理会計に環境の視点を取り入れることで、見えなかった部分を可視化し、効率的な経営のための管理・意思決定を行うためのツールです。また環境管理+会計と捉え、従来コストを度外視して(必要経費感覚)で推進してきた環境管理にコスト意識を持たせることで、環境保全活動をしながらコストダウンを進めることが可能となる管理ツールです。
特に環境管理会計の中でも、このシンポジウムのメインテーマとなるマテリアルフローコスト会計という手法は、資源生産性の向上を主題とした管理ツールとして有効性が実証されています。つまりマテリアルフローコスト会計を導入することにより、環境保全活動(廃棄物の削減=原料・エネルギーの削減)とコストダウン(原料費・エネルギー費の削減)を同時に行うための改善提案をするための情報を、タイムリーに管理部や製造部が得ることができます。経営の意思決定のための重要な情報が環境という切り口によって得られるので、現在、マテリアルフローコスト会計は、原価計算の一手法ともされているくらいです。
環境保全活動もコストダウンも究極まで実施している日本の大企業においても、この手法を導入したことにより、大幅なコストダウンと廃棄物削減を実現しています。事例としてはキヤノンが特に有名で、この手法により年間数億円のコストダウンに成功しています。現在日本では100社以上が導入し、成果を上げています。
また、コスト管理の徹底した大企業ではなく、それほどの管理をしていない中堅以下の企業のほうが、この手法を導入した際のメリットは大きいとされています。つまりコスト削減・廃棄物削減以外に、可視化による作業の標準化、生産計画の最適化、マネジメントシステム(管理体制)の定着などのメリットが得られるからです。
大企業以外にも、中小企業においても、環境管理会計は導入メリットがあります。
このため、経済産業省はこの手法の普及活動を推進しています。さらに国際的には環境管理会計をISO化するための委員会が今年立ち上がり、6月末に北京で会議が開催されました。その会議においても、アジア太平洋諸国から支持が得られました。
環境管理会計は、会計士やそのクライアントにとっても有効な経営ツールです。近くISO(国際規格)になることも視野に、このシンポジウムを機会に環境管理会計とその有用性を知っていただくことを目的としています。
今回は、内外の有識者や企業、政府関係者をゲストに招いたシンポジウムです。詳細及びプログラムについては、同封の案内やJICPA-HP等をご参照ください。皆様のご参加をお待ちしております。
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