JICPA 環境・CSRウィーク
 

「環境会計シンポジウム 〜環境管理会計の展開」報告

 

近畿会 経営委員会副委員長
本部経営研究調査会
環境会計専門部会委員
 
梨岡英理子

 
 本年より日本公認会計士協会は、“JICPA 環境・CSRウィーク(GreenWeek)”を設け、初年度にあたる今年は10月1日からの週に設定し、その催しとして、環境・CSRに関するシンポジウムを開催いたしました。第1弾は気候変動リスクに関わる投資家向け情報開示(10/1東京)、第2弾は環境管理会計(10/3大阪)第3弾はCSR情報開示と保証(10/4CAPA分科会)の3テーマについて、国内外有識者、企業経営者及び政府関係者等を招聘し議論を行いました。(詳細は会計監査ジャーナル12月号に掲載されますので、ご参照ください。)
 近畿会では、このうち第2弾「環境管理会計の展開」を主催いたしました。これについて簡単にご報告いたします。
 
<開催概要>
日 時 2007年10月3日 13時〜16時45分 日英同時通訳あり
場 所 大阪国際会議場 ( グランキューブ大阪 )1003
参加者  CPA…94名、一般…82名  合計 176名
 

 場所は大阪国際会議場(CAPA会場)で、500人収容可能な大会場でした。翌日から始まるCAPAのウェルカムパーティや事前登録が始まる日です。環境会計シンポジウムは、CAPAのプレイベント風に同じ会場で開催されました。2007年10月3日(水)13時開演ですが、12時の開場から多くの人が集まり、会場が閑散と見えないほどの聴衆が集まりました。企業の方や学生が半数を占め、いつもと違う雰囲気です。
 13時に開演、司会は主催である近畿会経営委員長 百々季仁が担当しました。まずは主催者を代表して、近畿会会長 中務裕之氏よりご挨拶をいただきました。地球環境問題が急速にクローズアップされてきたこの時代を、お好きな映画「ガイアシンフォニー」の一節を引用して語り、翻って私たち公認会計士に何ができるか?を問い、できることから始めなければならない、というオープニングに相応しいスピーチです。
 続いて来賓の経済産業省産業技術環境局環境調和産業推進室長 君塚秀喜様よりご挨拶をいただきます。経済産業省としても地球規模の環境問題に対応するために、日本経済の対応を支援されており、特に環境管理会計を中心にこの普及と促進を推進されているという、熱く強い意思の伝わる演説でした。
 いよいよ講演が始まります。基調講演は、「マテリアルフローコスト会計:環境管理会計の基盤手法」というタイトルで、神戸大学大学院経営学研究科教授 國部克彦氏による講演です。國部教授はこの分野で日本を代表する研究者であり、環境管理会計ISO(国際標準化機構)規格化計画の中心人物です。環境管理会計のなかで特にマテリアルフローコスト会計(MFCA)と言う手法について、その概要と有効性、他の管理会計手法との関連などをわかりやすくご説明いただき、また今後日本および世界でこの手法がどのように活用され、普及促進されていくかについての将来像を示していただきました。
 つづいて、特別講演は「環境管理会計の東南アジアへの普及」と言うテーマで、南オーストラリア大学教授 Roger Burritt氏にご講演いただきました。教授は公認会計士でもあり、翌日のCAPA分科会「CSR情報開示と保証」のパネリストもされます。この講演では、東南アジアの中小企業が、環境保全と利益獲得を同時に達成できた事例を中心に、いくつかの導入事例を分類され、投資時と事後評価の2側面から環境管理会計の活用についてお話いただきました。中小企業の成功事例として参考になる、大変貴重なお話でした。
 この後15分休憩の後、パネルディスカッションです。コーディネーターは國部教授、新たに3名のパネリストが加わり5名で議論が行われました。議論に先立ち、パネリスト3名によるショートプレゼンテーションが行われました。
 まず、フィリピン会計士協会(PICPA)のMaria Fatima Reyes 氏よりフィリピンにおける環境管理会計の現状と事例が説明されました。フィリピンでも環境・CSR報告書を作成する企業が増加しており、つまり環境マネジメントシステム、環境管理会計を必要とする企業が増加しているという現状があります。環境負荷の削減とコストの削減を効率的に行うことを目指しており、そのために公認会計士が必要とされている、というお話でした。次はキヤノン株式会社から日本企業のMFCA導入成功事例を発表いただきました。キヤノン株式会社グローバル推進本部環境統括・技術センター担当部長 安城泰雄氏が、カメラのレンズ工程への導入事例をご自身の体験をもとにスライド30枚を超える豊富な実例を惜しみなくご説明いただき、15分のプレゼン時間があっという間の大変興味深いお話でした。最後に私が日本の公認会計士の立場から「環境管理会計を通じた公認会計士の貢献」というタイトルでお話させていただきました。前半は14年に及ぶ国内外でのJICPAの環境への活動の紹介、後半は原価計算とMFCAの違いと、MFCAに代表される環境管理会計の活用方法を説明させていただきました。環境管理会計は、環境経営による費用節減・収益向上という財務会計への貢献と、環境経営による企業評価の向上という効果を連携させるものであり、その仲介を行うのが公認会計士である、と結んで終わりました。
 ディスカッションでは、環境管理会計がどうすれば役立つか、海外事例や日本事例に関する議論が行われました。会場からも既存の会計と違いに関して質問がでるなど、大変活発な議論が行われました。ただその後に迫ったウェルカムパーティ等の関係で、議論の時間の時間が十分取れたはいえず、機会があればまたこのテーマでシンポジウムを開催したいと思います。
 最後に、JICPA経営研究調査会担当常務理事 中西清氏より締めのご挨拶をいただきました。長時間に渡った有意義なシンポジウムへの参加者全員に対する感謝の言葉をいただき、さらに「JICPA環境CSRウィーク」の課題として、来年7月の北海道洞爺湖サミットで存在感を示すことなどを示唆されました。
 国内外のこの分野では著名な講演者を招聘し、大勢の方に参加いただけ、終了後のアンケートにおいても好意的なご感想を多くいただきました。このシンポジウムが無事成功しましたことに対し、関係者の皆様に深く感謝とお礼を申し上げます。