法務会計委員会研修会
 

「企業価値評価ガイドライン」の概要について

 
 近年、経営戦略として行われるM&A、事業再編等、また、裁判所による株式の価格の決定等の局面において、企業価値評価に対するニーズが高まっています。こうした環境の中、公認会計士が行う企業価値評価の実施内容、報告等について、経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」がリリースされました。原文は協会のホームページにおいて公表されています。また、清文社から出版もされています。
 3年前に企業価値算定専門部会が発足し、監査業務に従事している会計士、M&Aにおける企業評価業務の経験者、個人の会計事務所を経営し中堅・中小企業の経営実態に詳しい者、裁判所からの選任による鑑定業務経験者、さらに、会計やファイナンス専門の大学教授や企業評価の経験豊富な弁護士が結集して調査研究を進めてきました。
 本研究報告の特徴は、M&Aなどにおける「取引目的の価値評価業務」と裁判所に価格決定を申立てることを想定した「裁判目的の価値評価業務」の2種類の目的に分類しているところです。それぞれの観点から価値評価業務の実務について、その要所を解説し、業務上留意すべき事項についても言及しています。具体的に利用できる書式集も掲載しており、公認会計士や弁護士、企業経営者、大学の学生や大学院生、M&A専門部署の担当者などの方々に、理論と実務の両面で活用していただくことを期待しています。
 
 このガイドラインは、次の構成に従って取りまとめています。
 
一企業価値評価ガイドラインの構成一
T. 総 論
U. 企業価値評価基本ガイドライン
V. 企業価値評価における価値形成要因
W. 評価アプローチと評価法
X. 取引目的の価値評価業務 Y. 裁判目的の価値評価業務
Z. 今後の企業価値評価業務と検討課題
[. 書式集
 
 
 企業価値の概念については、用語の定義とともに次のイメージ図により説明をしています。
 
一企業価値の概念一

 基本ガイドラインは 、一般事項に関するガイドライン、実施に関するガイドライン、報告に関するガイドラインとありますが、その概要は次のとおりです。
 

一般的事項に関するガイドライン一

1. 公認会計士の資質
専門的知識と経験を有すること
職業倫理と誠実性をもって評価業務を遂行すること
   
2. 独立性・中立性
一定の利害関係に無いこと 
監査上の独立性とは異なること 
本人はもとより補助者においても独立性を求める‥‥など
   
3. 正当な注意義務
本人はもとより補助者においても正当な注意を求める
   
4. 守秘義務
本人はもとより補助者においても守秘義務を求める
   

一実施に関するガイドライン一

1. 評価の目的、対象、基準日
評価の目的、対象、基準日を明確にする
   
2. 評価実施計画
実施計画を立案し、必要に応じて計画を修正する
   
3. 十分な業務の実施
十分な時間を確保し、業務を行う
   
4. 業務に関する依頼人との関係
次画面参照
   
5. 適正な評価方法の選定
評価目的、対象会社の状況などを加味して決定
企業価値形成要因について十分に検討
評価方法の選定根拠を明確に示す
 

一報告に関するガイドライン一

   
  1.報告書の記載事項
表題 ●日付、宛先など ●評価目的、評価対象、評価基準日 
評価方法の選定理由 ●計算過程 ●書式集(参考)
   
2. 前提となる事項の記載
取引目的 : 保証や意見表明でない旨、利用目的、利用制限
裁判目的 : 当事者や裁判所との協議の上で決定された前提事項
   
3. 利害関係
取引目的 : 依頼人や評価対象会社との利害関係の有無
裁判目的 : 申請人、被申請人、鑑定対象会社との利害関係の有無
   
4. 添付資料及び引用・参考文献
取引目的 : 必要に応じて添付
裁判目的 : 必要に応じて添付
 
著 者: 日本公認会計士協会編 1470円
主要目次:
1.総論
2.企業価値評価基本ガイドライン
3.企業価値評価における価値形成要因
4.評価アプローチと評価法
5.取引目的の価値評価業務
6.裁判目的の価値評価業務
7.今後の企業価値評価業務と検討課題
8.書式集