年 頭 所 感
 

日本公認会計士協会
会長
増田宏一

 平成20年を迎え、近畿会の会員及び準会員の皆様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。
 新執行部が昨年7月にスタートし、6ヶ月が経過しました。この数年は、会計不祥事が続き公認会計士監査に対する信頼が大きく問われ、協会は、自主規制を強化し全力を挙げて信頼回復に取り組んでまいりました。監査事務所におかれましても、事務所内部での意見審査機能の整備等品質管理体制の充実強化が求められているほか、協会の品質管理レビューや公認会計士・監査審査会による検査への対応等大変な毎日であったことと思います。
昨年12月、会員の皆様のご協力を得て臨時総会を開催し、本年4月に施行される改正公認会計士法に備え、会則及び規則の整備を行いました。当該改正法では、有限責任組織形態の監査法人が創設されたほか、特定社員制度の導入、さらには、行政罰の多様化や監査事務所の規制強化等が盛り込まれております。我々は、改正法令を遵守し監査業務の充実に取り組んでいかなければなりません。
 さて、本年4月から、金融商品取引法により導入されます内部統制報告制度や四半期報
告制度がスタートします。当該制度が定着しますと財務情報の信頼確保に大きく寄与する
ものと確信しております。公認会計士は、前者には監査、後者にはレビューを行うことに
なりますが、協会は、会員に対する研修等を積極的に行ってきており、今後とも現場のニ
ーズを把握し適切な対応策に取り組む所存であります。さらに、昨年4月に導入しました
上場会社監査事務所登録制度も本格的な運用段階を迎えております。登録制度は、公認会計士監査の信頼を確保するための自主規制の要であり、失敗は許されませんので、信頼ある制度に育てあげなければなりません。
 その意味では、公認会計士にとって、平成20年は新たな時代への幕開けであると受け止め、気持ちを一新して信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。
 また、上場会社監査以外の監査業務やその他の公認会計士業務についても、社会の期待は大きいものがありますので、私達は、こうした社会的ニーズにも適切な対応が求められております。
 第1に、公益法人監査が挙げられます。従来の要請監査におきましては、監査対象につ
いて、資産額100億円以上、負債額50億円以上又は収支決算額10億円以上の三つの基準が定められ、約2,800の公益法人が監査対象となっておりました。しかし、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」を受けて公表された同法施行令では、公益財団法人の規模基準は、収益1,000億円、費用及び損失1,000億円、負債50億円と定められ、監査対象が著しく減少することになります。協会は、当該基準が法律の趣旨にも透明性を求める社会の要請にも逆行しているとして、担当官庁等に対して、適切な対応措置を考慮してもらうべく全力を挙げて取り組んでおります。 
 第2に、私立学校振興助成法に基づく学校法人監査があります。学校監査は、文部科学
省管轄の学校法人から都道府県知事管轄の幼稚園まで多種多様であり、これらの監査を同一の監査基準に基づいて実施しなければならないのかどうか、法律の趣旨や監査の性格等について総合的な検討が必要であると考えております。
 第3に、地方公共団体財政健全化法の制定により、健全化指標に基づき問題のある地方公共団体について個別外部監査が求められております。他方、地方公共団体の財政改革の一環として、全国1,800の地方公共団体について、一定年数内に財務諸表4表の作成が求められており、公認会計士は、この作業に全面的に協力していくこととしており、地域会の皆様にご協力をお願いすることになります。
 第4として、我が国の今後の経済発展にとって中小企業の育成は重要な課題であります
が、現実には後継者不足もあって事業承継が社会的課題となっております。租税調査会と経営研究調査会は、それぞれの立場から事業承継問題について調査研究を開始します。また、事業承継について、弁護士会から士業のネットワークを作ろうとの提案があり、今後、各地域会での協力推進をお願いする予定であります。監査以外の公認会計士業務も拡大増加しており、協会は調査研究や継続的専門研修等を充実し社会的要請に応えてまいりますので、皆さん方のご努力ご支援をお願いします。
 最後に、皆様方のご健勝と益々のご活躍を祈念し、私の年頭の挨拶といたします。