年 頭 所 感
 

金融庁総務企画局開示業務参事官 
小林利典

 新年明けましておめでとうございます。  日本公認会計士協会近畿会会員の皆様におかれましては、公認会計士・監査法人の監督行政に多大なご協力をいただき、厚く御礼を申し上げるとともに、今年も引き続きご協力 をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 昨年6月には、公認会計士法の改正が行われました。 企業活動の多様化、複雑化、国際化や監査業務の複雑化、高度化が進展する一方、近年の公認会計士監査をめぐる不適正な事例等が度々生じている状況下において、組織的監査の重要性がより高まっております。  こうした認識のもと、会計監査の充実・強化を図り、企業開示に対する国民の信頼を確保していく観点から、「公認会計士法等の一部を改正する法律」におきまして、@監査法人等における品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーの強化、A監査人の独立性と地位 の強化、B監査法人等に対する監督・責任の見直し等の措置が講じられました。  
 これを受け、12月には、改正法における見直し項目のうち、技術的・細目的事項を定 める政令、関係内閣府令について所要の改正が行われました。  政令、関係内閣府令では、@監査法人が整備すべき業務管理体制の細目、A監査法人の社員に占める特定社員(公認会計士以外の社員)の占める割合の上限、B監査法人が開示すべき業務及び財産の状況に関する説明書類の記載事項の細目等について、EUの法定監査に関する第八次指令等、諸外国の動向等を踏まえた形での規定がなされました。
  また、監査人の独立性と地位の強化の観点からは、大規模監査法人に係る継続監査期間5年・監査禁止期間5年のローテーション・ルールの特例の適用に関する所要の規定の整備、監査人の不正・違法行為発見時の対応について、当局への申出の要否を判断すべき期日等の規定がなされました。更に、新設された課徴金制度に関し、課徴金の額の算定基礎 となる監査報酬相当額の内容等、有限責任監査法人に関し、最低資本金や供託すべき金銭の額、監査報告書の添付の義務付けが免除される規模の基準等が定められました。
  改正法の施行は、本年4月1日とされております。
  これらのほか、平成18年12月にとりまとめられた金融審議会公認会計士制度部会報
告においては、@財務書類の信頼性を高め、監査の質を確保する観点から、監査報酬についての適切な情報の開示が求められていくべきであること、A監査人の独立性や地位が脅 かされる形での交代を防止する等の観点から、監査人交代時の情報開示について充実・強化を図っていく必要があることが記載されております。これを踏まえ、今後、本年4月1 日の施行を目指して、関係内閣府令の整備作業が進められていくこととなります。
  このように、本年4月から新たな公認会計士制度が施行されますが、加えて、四半期報告制度や内部統制報告制度の導入による法定監査が拡大する中で、監査人としての品質の確保が改めて問われるとともに、その果たす役割は一層大きくなっております。職業専門家としての高い倫理観を保持しつつ、より一層その使命・職責を果たされるよう期待しております。  また、本年3月17日には、新EDINETが稼動予定であり、これにより、本年4月1日以後開始する事業年度から、財務諸表にXBRLが導入されます。監査人におかれては、XBRLの導入に向けご対応いただくとともに、導入が円滑に進むよう提出会社への周知等のご協力をお願いします。
  さて、昨年は、開示書類の虚偽記載に係る監査法人に対する懲戒処分の発動や品質管理 体制の確保を求めるための業務改善指示などが行われました。  重要なことは、事業会社が正確な財務書類を作成し、それに対して監査人が独立した立 場から品質の高い監査を提供することにより、投資家に対する適切な情報提供を確保する ことであると思います。
  先に述べましたように、企業開示に対する国民の信頼を確保していく観点から公認会計 士法の改正等が行われましたが、監査人と被監査会社の双方が、今一度監査のあり方の基本に立ち返ってそれぞれのあり方を見つめなおす転換期にいるのではないでしょうか。

 末筆になりましたが、貴会のより一層のご発展と会員の皆様のご健勝とご活躍を心より お祈りして年頭のご挨拶といたします。