特集

トゥイーディーさんとの語らい

会長 中務裕之

 
アメリカの覇権主義からするとアメリカがFASBの基準ではなくIFRSを採用する方向が信じられないのですが、その流れの中心にいる国際会計基準審議会(IASB)のデビッド・トゥイーディー議長との交流会の報告です。
 

 日本の会計基準とIFRSとのコンバージェンス(収斂。差異を少なくすること)を進めてき、昨年8月には東京合意として大きく報道されました。しかしその後、コンバージェンスのタイムスケジュールを示したという意味で意義があった東京合意はかすんでしまうほど激しい変化が起こっています。すなわちアメリカが国外企業だけでなく国内企業においてもIFRSを使用することを認める可能性が高まってきています。
  このことは、コンバージェンスではなくアドプション(採用)という方向へ進むことを意味しています。日本の上場企業においてもIFRSで作成することが認められる日がかなり早くやってきそうです。そうなると我々もIFRSの勉強をしなければなりません。
  日本企業の中で欧米で資金調達をしている企業は100社程度ですから、IFRSを適用する企業もその程度だと考えるのは間違いのようです。IFRSを採用している、または使用を認めている国は、各国が独自に変更を加えている(それは好ましくないのですが)国を含めて100カ国以上に上っています。日本企業で海外に子会社を持っている会社はたくさんあります。親会社と子会社の会計処理を統一することになっていますが、子会社に日本基準を習熟してもらうには労力が必要です。ならば子会社で使用しているIFRSを親会社が使用する方が手っ取り早いと言えます。このような理由から欧米で資金調達していない会社においてもIFRSが使用される可能性があります。
  ところで、日本は財団法人 財務会計基準機構を通じて、IASBの母体であるIASCFに今年度は年間2億8000万円も拠出する予定です。機構への会費等として主に監査法人、上場会社が負担しています。

  近畿会としてはIASBはおろか、ASBJとも直接的な関係はありませんでしたから、どのような交流をしたものか思案しましたが、夕食会での交流のいくつかをご紹介しますので雰囲気をご想像ください。
 トゥイーディーさんはイギリスのスコットランド出身であることインタネットで調べました。眼下に満開の桜、正面に大阪城が見えるKKRホテルは絶好の場所でした。
 「大阪城はスコットランド城より少し後に建造された。私が習った教科書では〈大阪は東洋のマンチェスター〉と書いてあったが、おそらくイギリスの教科書ではそのような記述はないでしょうね。大阪で発明された世界初のものはインスタントラーメン、電卓、先物取引などです。」などと紹介しましたところ、場が和んで会がスタートしました。
  トゥイーディーさんは、20年前に初めて京都を訪れた時に、檜風呂に入り、木の臭いがすごく気に入った話や、将軍と天皇はどのように違うのかといった質問をされ、日本料理は飾り付けが素晴らしいと日本びいきである様子でした。
  また私が、西洋化が必ずしも好ましいとは限らず、石や木にも神が宿っていると感じるspiritualな部分は大切だと思うという話や相互理解のためのコミュニケーションの充実が大切ということをお話ししたところ、私のつたない英語がどの程度通じたかわかりませんが、共感されていました。
  国民性を単純に語ることはできませんが、トゥイーディーさんはアメリカ人ほどユーモア上手というわけではなく、日本人的な誠実な方のように見受けました。イギリスではイングランドとスコットランドはプライドが別のようです。東京と大阪のようなものでしょうか。無条件にアメリカに迎合することはしないという感じがしました(単に感じですが)。会計の世界で最も注目されている人はさすがに、気遣いが優れていて、お世辞半分でしょうが、我々に対する言葉や態度はファンを作るものでした。
 今後、日本としての課題はIASBへ現在は山田辰巳理事一人しか送り込めていませんが、将来は2人を送り込めるようにすることです。そんな意味でもトゥイーディーさんとASBJの連携を深め、また日本に対する好感度を持っていただけた良い機会であったと思います。

余談:デビッド・トゥイーディーさんはSirの称号を得られたのですが、その場合、サートゥイーディーではなく、サーデビッドと名前で呼ぶのが正式だそうです。一方、奥様はレディトゥイーディーと呼ぶそうです。