報告
関西地区三会共催研修会
監査の品質管理に関する検査指摘事例集について

監査会計委員会委員長 白井弘

開催日時  平成20年6月2日 13時30分〜15時
場  所  近畿会研修室
講  師  金融庁公認会計士・監査審査会常勤委員  脇田良一氏
事務局審査検査室室長補佐    大田和光氏
参 加 者 202名
 
1. はじめに
 平成20年2月に金融庁より公認会計士・監査審査会の検査結果に関して、「監査の品質管理に関する検査指摘事例集」が公表されたのを受けて、監査会計委員会としては、監査事務所及び監査業務の品質向上の役立つセミナーを企画し、全国の各地域会に先立ち、協会本部を通じて早期にセミナーを開催したい旨を打診した結果、6月2日に開催する運びとなった。目的は、検査指摘事例集に記載されている事例について、この平成20年3月期の公開会社の監査において、再度、同様な指摘がないように、各指摘事例を十分に理解し、品質管理の向上のために改善していくことにある。

講師の脇田良一先生

 

 
2. セミナーの内容
(1)脇田良一氏よりの説明
はじめに脇田良一氏より審査会の3つの業務のうち、公認会計士試験制度の概要について説明があった。出席されている会員の方々は、大部分が旧試験制度の下で合格された公認会計士の先生方であり、新試験制度について馴染みがないと思われるため、まずはそのような制度説明があったものと思われる。旧2次試験での簿記論は財務会計論に統合され、原価計算論は管理会計論に統合された。商法(現会社法)は企業法に名称が変更になった。
次に「品質管理レビュー」に対する審査および検査における金融庁、公認会計士・監査審査会、日本公認会計士協会、監査事務所及び被監査会社との関係について資料のフロー図に基づいて説明があった。公認会計士・監査審査会は、日本公認会計士協会から「品質管理レビュー」に関する報告を受けてその内容を審査し、必要に応じて日本公認会計士協会や監査事務所等に立入検査等を実施する制度になっている等の基本的な制度の説明があった。
 続いて用意された「検査指摘事例集の公表に当たって」と題するパワーポイントの資料に基づき、投資家等の財務諸表の利用者「監査情報の利用者」と公認会計士との関係について、疑念なき安定関係よりその関係の崩壊、疑念解消による安定関係の回復の流れにおいて会計士協会による自主的なの品質管理レビュー制度に対して「仲間内のレビュー」の印象を払拭するために行政機関等の第三者機関による監視・監督が世界の潮流に沿って公認会計士・監査審査会が発足したとの説明があった。
 時間的な制約より国際的な検査の視点については、証券監督者国際機構(IOSCO)初め、米国、英国等の状況については詳細な説明は割愛されたが、日本における検査については、国際的な検査視点の導入を踏まえ監査事務所における監査の品質管理及び個別の監査の品質管理について問題点の指摘と改善を要請するとの説明があった。
 検査実務においては、その目的、確認・検証方法について触れられ法令諸基準等に準拠し、実施されているかどうか確認・検証することになり、監査基準、監査に関する品質管理基準、協会の指針等への準拠が重要である点を強調された。
検査指摘事例集の趣旨に関しては、検査における主な指摘事例の紹介により、監査事務所による監査の質の維持・向上を図るための自主的な取り組みを促し、会計監査の信頼性確保及び証券市場の透明性を確保し、公益に資することが目的であり、指摘事例は、監査事務所の規模や指摘の頻度にかかわらず、監査事務所における品質管理の向上を図っていく上で、参照することが有益であると考えられる事例を掲載しているとの説明があった。
   

(2)太田和光氏よりの説明

公表されている検査指摘事例のうち以下の項目に関して23事例を抜粋して内容を説明された。詳細は、JICPA ニュースレター4月号掲載されており、原文は金融庁のホームページより入手することが可能であるので、ここでは事例の詳細は紹介しない。
 
3. おわりに

 今回、平成20年3月期の品質管理の改善に間に合うように6月上旬に実施でき、200名を超える多数の会員に参加頂いた。また公認会計士・監査審査会の脇田委員及び太田室長補佐には大阪までお越し頂き身近な説明及び個々の事例について詳細な解説を頂けたことは、企画した当事者として非常に喜ばしいことである。しかし、指摘事項を個々に遵守していく義務があることを考えるにつけ、監査情報の利用者が疑念を抱かないよう日々の監査業務においての品質管理の向上に向けて、更なる努力をしていかなくてはならないことを痛切に感じた。
 各会員におかれては、個々の指摘に関してそれぞれ意見があったと思われるが、限られた時間の中で、十分質疑応答時間が取れなかったことはお詫びしたい。最後に、監査の保証水準については、一定の水準を確保する必要があり、監査を実施する監査事務所については規模の大小があるものの、クライエントの規模に応じて人員構成や採用する監査手続等が相違するものの、一定の品質水準の維持が望まれることは言うまでもないとの公認会計士・監査審査会の基本姿勢は良く理解できた。また、会計士協会が作成した品質管理基準委員会報告第1号や監査基準委員会報告書第32号「監査業務における品質管理」については、監査の品質管理の基礎となる重要な基準であり、我々が自ら定めた自主管理のための重要な基準でもあり遵守していく必要があることを認識頂ければ今回の研修の目的は達成できたのではないかと考える。