投稿

公認会計士も温暖化問題を考える時代

株式会社環境管理会計研究所
取締役
 梨岡英理子

 
 「会計士と環境が一体何の関係がある?」 といわれた1991年。
  私が補習所終了論文のテーマを「環境問題と公認会計士」に決めたとき、回りの人に言われた言葉です。それが最優秀論文賞をいただいたのは「第1回地球サミット」の直後だったからという時代背景があったのかなと思います。あれから十数年。いま上記の言葉を言う人はさすがに少なくなりました(多分)。会計士協会本部の委員会にも環境系の専門部会が4つ(環境会計・CSR情報・CSR保証・排出量取引)もあり、多くの会計士が専門知識を集結し、この分野の最先端を議論し社会に向けて発信しています。
 では「会計士」と「環境」はどんな関係になったのでしょう?
 
 環境問題で今話題のテーマは
1. 環境負荷(ゴミ等)を減らす(省エネ、省資源)
2. 温暖化対策でCO2を削減する(カーボンフットプリント、カーボンオフセット等)
 の2つが断然注目度が高い(と思う)。この両者と会計の関係はというと・・
1. ゴミの削減=資源を有効利用=コスト削減→資源生産性の向上
 2. 温暖化対策は世界の方針→CO2削減義務→排出量取引市場の検討
 ということで、1は管理会計手法、2は排出枠(排出権)という金融商品(?)になりました。1のゴミ削減は「資源生産性の向上」として、経済産業省の本年度のテーマ「新経済成長戦略」の最上段に掲げています。資源を算出しない国だから、買った資源はとことん使い尽くす!という強い意志を示しています。モノつくり大国を目指すからには大切なことです。このための手法はマテリアルフローコスト会計といい、前回(3月)のセミナーで取り上げたテーマです。いま国際規格(ISO)化に向け経済産業省主導で様々なプロジェクトが急ピッチで進行中です(急過ぎて現場はくたくたですが・・)。成果がでましたら、皆様にお披露目したいと思います。
 2つ目のテーマは温暖化。今年7月の洞爺湖サミットのテーマであった温暖化対策、CO2削減に対する動きが活発になってきています。EUを中心にカーボンオフセットが盛んに行われるようになり、カーボンフットプリントなど個別の情報開示の動きが積極的に進められています。日本でも排出量取引市場の導入が閣議決定されるなど、従来は貨幣評価されなかったモノに対するコスト評価が進められています。10月22日には排出量取引の国内統合市場の試行的実施について参加企業を募集し、併せて国内クレジット制度についてもプロジェクトの募集を始めました(これも経済産業省)。新聞に大きく掲載されたのでご覧になった方も多いと思います。また一連の動きは、気候変動リスクが社会一般に広く認識され、企業価値を評価する上で重要な要素になるのではないでしょうか。気候変動情報を制度的に開示するための枠組み作りに、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)を中心とする産業界と世界的会計ファームが中心になり動き始めています。
   この 今一番ホットな話題である温暖化問題のホント?ウソ?と投資家向けの気候変動情報についての捉え方など、低炭素社会へのキーワードについて、この分野の最前線で活躍する会計士が、最新動向を本音で語る機会を設定しました。世界で話題の研究報告(経営研究調査会研究報告34号)のお話もあります。研究報告が長くて読む気がしない方にはお勧めの講座です。クライアントとの話題に困らないように、会計士の一般教養のひとつとしてぜひお聞きくださいますようお勧め申し上げます。
 
近畿会経営委員会主催

   「温暖化関連情報の最新動向」研修会開催のご案内

1.開催日時 平成20年12月19日(金)13:30〜15:30
2.開催場所 日本公認会計士協会近畿会 事務局研修室  大阪市中央区久太郎町2−4−11 クラボウアネックスビル2階
3.テーマと講師  「本音で語る、温暖化関連の最新情報」    
  魚住 隆太氏
(公認会計士・経営研究調査会 排出量取引等専門部会長)         
  「気候変動リスクと投資家向け情報開示」    
岡本 光信氏
(公認会計士・経営研究調査会 環境会計専門部会委員)