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リレー随筆 第11回 投稿
 廣瀬 敏樹

出会いの年

「俺はピッパの法則で動いているから」。

   これは2年前にダイビングで知り合ったカイロプラクティックの先生の言葉です。彼は自分の患者さんに片っ端から声をかけ、スキューバダイビングへと誘い込んでいるのです。私は患者ではありませんが、偶然彼に出会い、そして時には一緒に潜りに行くようになりました。ピッと思いついたらパッと行動に移す、という彼の下には今や30人を超えるダイビング仲間が集っています。

  彼との出会いで私の10年にわたるダイビング人生は一層賑やかになってきました。 彼と出会ってからの2年間は、私にとっては新たな出会いの連続でした。最大の出会いは中高時代の親友から紹介された今の妻との出会いです。神様に導かれるように結婚する運びとなりました。そして結婚準備の過程でも実に様々な人たちとの出会いと交流に恵まれました。海外挙式や新婚旅行の手配を担当してくれたブライダル会社のプランナーさん。彼女は私たちの担当を最後にその会社を退職したのですが、その後も私たちの打合せの際には退職後の会社に特別に出社して対応してくださり、果ては我々が新婚旅行から帰国して一ヶ月後に開いた披露宴の司会までかってでてくれました。指輪を購入した百貨店の店員さん。何度か妻と一緒に売り場に足を運ぶうちに親しくなりました。彼女の物腰のやわらかさとかわいらしさに妻と二人でファンになり、時々会いに行きたくなってしまうのです。その彼女も、何と自分の仕事を休んでまで私たちの披露宴の2次会に駆けつけてくれたのでした。結婚の半年前に妻が仕事を通じて知り合ったある会社の役員さん。披露宴の食事そっちのけで会場を走り回り撮影して下さった写真の枚数は何と800枚以上(1000枚以上撮っていたと思いますが、気に入らない写真は削除されたようです)。その中から厳選した約300枚をまるで動画のような素晴らしいスライドDVDに仕上げてプレゼントしてくれました。ほんの数ヶ月前に知り合ったこれら多くの方々にこれほどまでして頂けたことに私は感謝の念で一杯になりました。  

  そして、人との出会いだけではありません。新婚旅行先の海では何とイルカとクジラに遭遇したのです。ダイビングをする方は御存知かと思いますが、海の中で野生のイルカやクジラに出会う確率はかなり低いのです。まして、それを映像や写真に収められるとは・・、10年に及ぶ私のダイビング人生の中でも最高にラッキーな年でした。 それにしても、結婚を機に何とたくさんの素敵な人(や動物たち)と出会ったのだろうと思います。40代を迎えた私の人生にまた新たな光が差してきたような気がします。本当にありがたいことです。 

   こうして人生におけるひとつの大きなイベントは終わりを告げたわけですが、これからが結婚生活の本番です。日々の生活では辛く、苦しいこともあるわけですが、一旦自分が家庭を持つと、これを大切にしないといけないという気持ちが人一倍湧いてきます。家族を幸せにすることは自分が幸せになる以上に大切なことですし、そのためなら自分が感じる苦労や苦痛はそれほど大したことではないと思えるようになりました。これまでは何をするにも、少し冷めたところがあったのですが、今は自分が何をするために生きているのかについて、はっきりした目的意識を持っている気がします。実はこれが人生最大の出会いなのかもしれません。自分が生きていける目的や生きていく意味にやっと出会えたと言えるかもしれません。思えば、ここに辿り着くまでに随分回り道をしたものです。だからこそ、(周囲の人は気づかないことかもしれませんが)これからはあれこれ思い悩むことはやめて、ただ自分の信じる道を進んでいくだけ・・と考える今日この頃です。きっとこれが、私の新年の抱負になると思います。