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犬との生活

疋田 実

 
 我家には、今、4頭の大型犬がいます。今の家に引っ越したとほぼ同時に、長年の夢であった「犬と暮らす」ということを実現すべく、色々な犬種やブリーダーを探し、ようやく長毛、漆黒でエレガントなフラット・コーテッド・レトリーバーの仔犬を迎えました。それが今の私の相棒、アクセル(現在8歳の牝)です。ところが、この犬種見かけとは裏腹に非常にハイパーな性格で初心者には扱いにくいと言われていました。アクセルも例外ではなく、ゆったり散歩を楽しむどころではありませんでした。ピンと張られたリード、頭を下げ、前傾姿勢の犬、それを止めようとしてそっくり返って歩く飼主。よく見かけるあの最悪の光景でした。仕方なく訓練士さんに来てもらい、週一回の訓練を開始しました。それから約一年、悪戦苦闘の結果、何とかひと通りのことができるようになり、その成果を試すべく、ジャパンケンネルクラブ(JKC)が主催する訓練競技会に出るようになりました。最初は軽い気持ちで訓練士に勧められるがままに出ていましたが、元来の負けず嫌いと凝り性が災いし、一度は表彰台の端っこにでも立ちたい、次はあのてっぺんに立ちたい、その次は大きな大会で理事長賞なるカップを貰いたい、挙句の果ては関西だけでなく関東でも勝ちたいと欲の権化と化して行きました。そんな私にアクセルはいつも尻尾を振って付き合ってくれました。アクセルが理解できる私の言葉がどんどん増え、私もアクセルの仕草や態度や鳴声で大抵のことは理解できるようになりました。人と犬とがペアを組んで競技を行い、これに点数が付けられ順位が決まる。そんなゲームを通じて私とアクセルの間には信頼とも、愛情とも、友情とも言い難い何かが生まれました。 2006年、アクセルは念願の仔犬たちを私にもたらしてくれました。その内の3頭が我が家に残り、今、私と共にアクセルのように訓練競技を続けています。

 犬と共に暮らすということ、犬と一緒に生活を楽しむということは、決して犬の言いなりになることでも、犬に人間の食べ物を与えることでもなく、犬とより近くで暮らすことであり、犬と多くを語り合うことです。そうすることで犬は人間の言葉を理解し、行動するようになります。人と共に暮らすことが犬にとっての幸せなのです。そのために正しいこと、してはいけないことをしっかりと教える必要があります。最初にきっちりと教えれば、家具をキズつけたりしません。ソファーにもあがりません。犬は何の選択肢も持っていません。飼主を選ぶことは勿論、住むところも、食べるものも、遊びも、散歩も全て飼主が主導権を握っています。そんな環境の中で犬達に最大限の自由を与えるためには、飼主と犬の相互理解が必要不可欠だと私は考えます。

 たった10数年の犬生です。犬達の幸せのために、少なくともそれ以上は健康で過ごさなければと思いつつ、昨年末の健康診断の結果を見て少し不安になっているメタボな私です。 最後に、世の中の全ての犬達が大好きな飼主と共に幸せな生活を送れますように。