投稿

盆踊りのすすめ

 俣木 幸子

はじめに
 時が経つのは早いもので、桜が咲いていると思ったら次に気付けばすでに桜は散り、暑い夏が今年もまたやってきました。リレー随筆のお話を頂いたときは何を書こうかと思案しておりましたが、掲載されるのが夏と知り、時期的なことを考えて今回は、盆踊りについて思いつくことを書かせていただきたいと思います。
 
盆踊りについて
 盆踊りは、その言葉だけを捉えるとお盆の時期にだけ踊られるような印象を持たれがちですが、現実ではそうとは限りません。地域によって多少の差はあるかとは思いますが、7月・8月であればどこかの夏祭りで盆踊りが行われているといっても過言ではありません。その地域に住んでいらっしゃる方々が参加するのが一般的ですが、とくに参加資格はなく、だれでも気軽に踊って身体を動かすことができます。そこで日頃の運動不足解消の一助となれば、ひいてはこの盆踊りを好きになっていただける方が一人でも多くなればと思いつつ、筆を進めていきたいと思います。
 
初めてのときはどうすればいいか
   とはいえ、新しいことを始めようとすることはどんなことであっても難しいことだと思われます。とくに、傍から盆踊りの輪を見ていると、はたして自分はこんなにうまく踊れるのだろうかといった不安を持たれる方も多いかと思います。しかし実は盆踊りは基本的に、ある1パターンの動きを曲に合わせて繰り返し踊っているだけなのです。そのため、パターンさえ覚えてしまえば(もっと言えば周りの方を見ながら踊れるので、ざっくりとさえパターンを把握しておくだけでもかまいません)、割とあっさりと踊れてしまうと思います。これをふまえてまずは勇気を出して輪の中に一歩踏み出してみるのはいかがでしょうか。

曲別にみる攻略法
 というわけで次に実際の夏祭りの場面を思い浮かべながら、どのように踊っていくのが良いかということを書いていきたいと思います。
 
子供に紛れて踊る
 お子さんがいらっしゃる方であれば、それを利用しない手はありません。ぜひともお子さんを先頭にして踊られることをお勧めします。夏祭りの子供向けの曲であればドラえもん音頭やおどるポンポコリン(ちびまる子ちゃん)などがよく使用されます。子供向けということで、「踊り」という要素が薄い動きも時々ありますが、それはそれでわかりやすく踊ることができると思います。また皆様良くご存じの曲がかかるということで、リズムも取りやすいのではないでしょうか。ただし、大人の踊り子さんによっては子供向けの曲を敬遠される方もいらっしゃるため、周りを見たら自分だけ大人だった…という状況も考えられます。ご注意ください。
 
炭坑節
盆踊り曲として全国的に一番ポピュラーなのはこの曲ではないでしょうか。「月が出た出た 月が出た…」という歌いだしは、どこかで耳にしたことがあるかと思います。先ほどポピュラーと書かせていただきましたが、この曲の踊りは比較的簡単でその踊りの意味も分かりやすいということで、どこの夏祭り会場でもこの曲が使用される理由はそこにあります。初めて踊るとなれば、この曲からチャレンジすることをお勧めします。
 
河内音頭
 近畿地方では上記の炭坑節と同じぐらいポピュラーな曲がこの河内音頭だと思います。もちろん録音で曲を流すということも考えられるのですが、歌い手さんを呼んできて、生歌で流すところもしばしばあります。そしてその歌い手さんで有名な方といえば河内家菊水丸さんがいらっしゃいます。肝心の踊りは実は「流し」と「マメカチ」の2種類があり、「流し」は進む方向が一方向で後ろに下がる動作もないことから比較的簡単ですが、「マメカチ」は踊りの途中で輪の中に向かって進んで戻るという動作があり、初めて踊るとなれば少しとっつきにくいかもしれません。また、先に紹介した炭坑節は比較的ゆっくりとしたテンポですが河内音頭はテンポが早いためリズムをとることがまずは課題となるでしょう。難しければ、最初は足の動きだけを見て覚えて、あとで手の動きを付け加えるのがよいと思われます。
 
他にも
 近畿地方の踊りとすれば滋賀県が発祥の江州音頭、兵庫県が発祥の麦わら音頭・摂津音頭・デカンショ節などが有名です。中には難しい踊りもあるのですが踊りは個々のパーツからなるものなので、徐々に曲のレパートリーを増やしていけばどの踊りも必ず踊れるようになるかと思います。
 
踊り疲れたら
 とはいえこの盆踊り、たとえば私のようなよっぽどもの好きな人間でなければ初めから終わりまで踊ることは難しいと思います。そこで次に踊らず盆踊りを楽しむポイントを探してみたいと思います。
 
踊っている人を観察する
 盆踊りということで、まず一番に思いつくのがこれです。他の踊り子さんの踊りを参考にすることで自分の踊りがどうかということを今一度見直すことができます。また、輪の中で一番うまい方を見つけるというのも面白いかもしれません。それと、最近では盆踊りのもとの振り付けを保持しつつ、さもダンスのように踊るグループも散見されます。その方々の激しい踊りを見るのも一つの楽しみになるかもしれません。
 
他にも
 太鼓を叩いている方を見るのも面白いかもしれません。慣れた方が叩くとそのリズム感だけで私たち踊り子の踊りの弾みが違いますし、激しく動きながら叩く方もいらっしゃるのでそれを眺めてみるのも楽しいと思います。他にも、盆踊りということで浴衣を着ていらっしゃる方が多いのですが、その帯の結び方に着目するのも面白いかもしれません。結び方で同じ蝶々を作るにしても、途中で裏表をひっくり返すだけで見栄えが変わってきます。帯の結び方に凝った人の帯を見るというのは、それだけでも興味深いことが見えてくるのかもしれません。
 
おわりに
  気がつけば、毎夏踊り続けて早十数年が経ちました。見様見真似で大人を後ろから追い続けて踊りを覚え、ここ十年ほどは曲どころか歌詞までも頭に入って、「どうしたらもっときれいに踊れるだろうか」と思いながら踊っています。踊りを覚えるのは簡単かもしれません。しかし簡単だからこそ奥深く、いつまでも続けて楽しめるものではないかと思います。冒頭でも書かせていただきましたが、本稿をきっかけにして一人でも多くの方が盆踊りを通じてひと夏の思い出を作っていただけたらと思います。拙い文章で、個人的で些末なことを長々と書かせていただきましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。