報告

日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会関西地区三会との
共同研究会合宿の報告

平成21年7月15日〜16日

監査会計委員会委員長 白井 弘

今回の勉強会は、黒部発電所及び黒部ダム視察を兼ねた合宿研修であり、関西電力株式会社の花井常任監査役様のご支援を得て実現したものである。参加者は監査役協会関西支部所長及び近畿会事務局長の2名と初参加の監査役協会中部支部所長を含め、監査役協会9名、会計士協会9名の総数18名であった。 JR黒部駅より徒歩5分のところにある「ホテルアクア黒部」に到着後、早速16時より共同研究会を開始した。
 
共同研究会のテーマ及び報告内容
 
 今回は、京滋会が「経営破綻企業に係る継続企業の前提の開示に関する事例分析」及び近畿会が「平成21年3月期決算会社のGCの開示分析について」をそれぞれ発表した。京滋会は、深井副会長より「改正前の財務諸表規則」及び監査委員会報告第74号「継続企業の前提」に基づき「継続企業の前提の注記」が付されている企業の事例分析の概括的な報告を行った後、平成20年度における経営破綻企業33社のうち、具体的な事例として2社を取り上げて、その破綻原因について財務の状況、資金調達の状況、リスク情報の開示やその他の開示事項の分析等の視点よりの説明があり、併せてGC注記の内容、監査報告書の追記情報事例分析について説明があった。
  近畿会は山添監査会計委員より「改正後の財務諸表等規則」及び監査・保証実務委員会報告第74号「継続企業の前提」に基づき、5月末まで公表された決算短信に基づき、事例分析の報告があった。その内容は、改正後の財務諸表等規則では、貸借対照表日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在する場合であって、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときに、「継続企業の前提に関する注記」が必要とされた。なお、当該注記を行わないケースにおいても、有価証券報告書の「事業等のリスク」や「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等において、一定の事象や経営者の対応策等の開示が必要とされている。
 2009年3月期の上場会社のうち、「継続企業の前提に関する注記」又は「継続企業の前提に関する重要事象等」の開示を記載した会社155社を対象に、改正前後の財務諸表等規則で開示がどのように変わったのか、決算短信における開示事例の分析結果の詳細の報告があった。GC注記した会社は70社(うち35社が前期より継続してGC注記あり)と前期の73社より減少しているものの、重要事象等の記載事例は110社になっており、合計は180社と増加している。
 京滋会及び近畿会がそれぞれ作成した資料は、それぞれ発表に2時間程度要するだけのボリュームであるが、発表時間が全体で1時間半と限られた時間であり、各発表者には要点のみを各45分ずつ報告して頂いた。 結論としては、3月決算会社に限定すれば、旧基準の下での「継続企業の前提に関する注記」を付している会社数が70社であり、新基準適用後の継続企業の前提に関する注記」が必要とされた。なお、当該注記を行わないケースにおいても、有価証券報告書の「事業等のリスク」や「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」等において、一定の事象や経営者の対応策等の開示を行った会社は110社となり、総数は増加していることがうかがえる。
 
研修会終了後の懇親会
18時30分より1階のレストランにて、双方の夕食兼懇親会が開催され、監査役各位と和やかな雰囲気の中で懇親会が行われた。時間が経過するにつれお酒の勢いもあって会場ではあっちこっちで会話がはずみ20時半の終了予定時間もあっと言う間に経過した。

いざ世紀の難工事の結果建設された 黒部第4発電所へ
 前日の夕方に多少雨模様であり、天気予報によれば早朝から雨とのことで心配したが、当日の朝は、好天に恵まれ7時15分に宇奈月温泉駅までバスで移動し、到着後、黒部川電気記念館にて本日のルート説明が案内役をして頂く大橋氏よりあった。8時37分発の関電関係者専用のトロッコ電車に乗り込み、黒部渓谷鉄道の欅平駅までの20.1キロを約1時間20分かけて黒部渓谷の景観を楽しんだ。欅平までは一般観光客も行けるが、それから先は関電関係者のみしか行けないルートであり、引き続きトロッコ電車にてトンネルの奥に移動し、下車後、竪坑上部までエレベーターにて200m上昇後、後立山連邦の風景が望める場所まで行き、奥鐘山や鹿島槍岳山々の景観を楽しんだ後に、ヘルメット着用後に上部軌道(仙人谷ダム建設のため作られた輸送ルート)のバッテリー電車に乗り換え、黒部第四発電所まで移動した。
 途中、難工事で知られている高熱隧道(吉村 昭著「高熱隧道」)では、気温が急激に上昇し40℃とかなり蒸し暑く、岩盤には湯の花がこびりついていた。このトンネルの難工事の様子は「高熱隧道」で詳細に紹介されており、かなりの死者を伴った工事であった当時のことがうかがえる。高熱隧道通過後、暫くして黒部ダム第四発電所へ11時に到着した。
 黒部第四発電所は黒部第四ダムより下流6キロに位置し、中部国立公園の景観保護のためと豪雪による施設保護目的のため地下200mに昭和31年着工で昭和36年に発電開始されている。4基の発電機で総発電量33.5万キロワットの発電能力を有し、黒部ダムよりの放流水を取り込んで、外国製の大きな水車を回転させ、発電機を動かしている。当日見学した時点では、29万キロワットを発電しており、主として関西方面に送電しているとのことであった。また、数年前にNHK紅白歌合戦にて中島みゆきがプロジェクトXのテーマソングである「地上の星」を黒部第四発電所手前の地下トンネルで歌ったことでこの発電所は有名になった。

壮大な黒部ダムへの移動
  黒部第四発電所にて昼食をとった後、インクライン(ケーブルカーであり、荷物を運ぶ場合は「インクライン」と呼ぶ。黒部トンネルの発電所末端と発電所とを接続する軌道で、標高差456mを傾斜角度34度、斜距離815m)にて、20分かけて上昇し、黒部ダムまで行く黒部トンネル連絡口(作廊)まで行き、専用バスに乗り換えて黒部第四ダムまで行った。途中、立山連邦が望める場所にて下車し、剣山(最近の映画「剣山の点の記」で有名)が非常に美しく望めた。普段はなかなか望めないとのこと。黒部ダム到着後は展望台まで300段近くの階段を上って、立山連邦、後立山連邦の雄大景観を約一時間楽しんだ後、途中関電トンネル破砕帯(映画「黒部の太陽」で有名)を通りトロリーバスにて扇沢駅まで移動した。その後は専用バスで移動し信濃大町駅15時に到着した。ここで現地解散となり、監査役の皆さま方に共同研究会合宿でのお礼とお別れをし、関西方面に向けて帰阪した。
 今回、早朝より黒部渓谷、黒部第四発電所見学及び黒部第四ダムでの景観を楽しみ、強行スケジュールであったが、素晴らしい景観を楽しんだためか疲れもなく、非常に有意義な日を過ごすことが出来たと思います。
 最後に改めて関西電力株式会社の監査役の花井様はじめ、終日案内役をして頂いた大橋様や関係各位にこの場を借りて感謝申し上げる次第であります。