報告

国際委員会主催
 「IFRSセミナー(5回シリーズ)第2回報告」

あずさ監査法人 渡邉和哉

 
 国際委員会では、国際会計基準・国際財務報告基準(以下総称して、IFRS)の近畿会会員向けセミナーの開催を本年度の重点活動としており、下表の通り、5回シリーズでのセミナーの開催を予定しています。今回は、下表のうち第2回(テーマ:財務諸表の表示、企業結合、連結・関連会社・JV)についてご報告させて頂きます。
 
(5回シリーズのIFRSセミナー概要)

 第2回につきましては、上表にありますように平成21年10月15日(木)あずさ監査法人5階研修室で開催されました。研修時間は13時30分〜16時30分で、99名の会員の皆様に出席して頂きました。講師担当は、あずさ監査法人です。
  まず、最初に私のほうからIAS第1号「財務諸表の表示」について、話をさせていただきました。話の内容は、大きく@現行のIAS第1号の解説とAIASBとFASBとの間で進められている財務諸表の表示に関するプロジェクトの状況、です。
 @現行のIAS第1号の解説においては、現状の日本の財務諸表との大きな違いがある部分、特に、包括利益計算書により包括利益という概念が導入されている点や、注記で開示する情報が現行の日本基準よりも非常に豊富かつ詳細になっている点などにつき重点的に説明を行いました。また、A現状、IASBとFASBとの間で進められている財務諸表の表示に関するプロジェクトの状況については、特に大きな影響が予想される部分として、ディスカッション・ペーパーの中で提案されている以下の3点を中心に、実際の雛形を参照しつつ説明を行いました。
財政状態計算書、包括利益計算書、キャッシュ・フロー計算書の各項目を、統一的に事業、財務、資本、廃止事業および法人税のセクションに分類。
キャッシュ・フロー計算書について、直接法を用いて表示し間接法を認めない。
 新たな調整表(キャッシュ・フローから包括利益への調整表)の導入。
 
  財務諸表の表示に関しては、IASBにおいて2010年上半期に公開草案、2011年に最終基準化を目指して、プロジェクトが進行していますので、今後の動向に十分な留意が必要な分野だと思われます。  続いて、同じくあずさ監査法人の雨河さんからIFRS第3号(改訂版)「企業結合」について、説明がなされました。雨河さんは、私と同様にあずさ監査法人大阪事務所のIFRSタスクフォースのメンバーであり、クライアントの現場でIFRSアドプションを推進していく役割を担っています。解説の中では、改訂版IFRS第3号(2009年7月1日以降開始する会計年度以降の企業結合から適用)の中で採用されている取得法(acquisition method)について、各ステップ(@取得企業の決定A取得日および譲渡対価の決定B識別可能資産・負債及び非支配持分の認識並びに測定Cのれん(またはバーゲン・パーチェス)の認識及び測定)ごとにその会計処理のポイントと留意事項を、ケーススタディーを交えながら丁寧に解説されていました。
  特に、改訂版において取得法が採用されたこと、これに伴う最も大きな会計上の影響として、非支配持分の測定方法が@非支配持分自体の公正価値(すなわち、のれんを非支配持分についても認識する方法)とA被取得企業の識別可能純資産に対する非支配持分割合で測定する方法とのいずれかを選択できるようになった旨を強調されていました。また、解説の中では、日本基準との主な相違点、今後の日本基準の改訂の方向性についても触れられていました。
 企業結合という分野は、我々公認会計士にとっても非常に難解な分野でもあり、出席者の皆様も随分頭を悩まされているようにお見受けしました。やはり、実務として実際の事例に直面しないとなかなか理屈だけでは理解が進まない分野ではないかと感じました。
  引き続き、あずさ監査法人の正司さんにIAS第27号「連結および個別財務諸表」、IAS第28号「関連会社への投資」およびIAS第31号「ジョイント・ベンチャー」の解説をご担当いただきました。正司さんは、あずさ監査法人のIFRS本部のメンバーであり、KPMGアジア地域のトピックチームにも名を連ねています。解説の中では、主に、連結財務諸表に関して@連結の範囲A会計方針、決算日の統一等B非支配持分の取り扱いC支配獲得後の持分の増減/支配喪失時の処理に分けて、IFRSの基本概念である、経済実態重視、原則主義と関連付けて明快な説明がなされました。
  例えば、@連結の範囲の決定に際しては、支配という概念はあくまで経済実態を勘案して判断する必要があることを強調されると共に、原則として全ての子会社を連結しなければならない点やA会計方針、決算日の統一についても、実務上不可能でない限り決算日は親会社の決算日と同一の日付(仮決算を含む)でなければならない点、会計方針もグループ内企業の会計方針は統一しなければならない点など、IAS27号の基準自体では、量的・質的な面での例外規定が無く原則主義が貫かれている旨の説明がなされました。
 また、解説の中では、例えば会計方針の統一について、実務対応報告第18号(「連結財務諸表における在外子会社の会計処理に関する当面の取り扱い」)への対応だけでは、必ずしも十分とは言い切れず、より具体的なレベルまで統一する必要があるなど、実務面への影響に配慮したコメントもなされ、出席者の皆様にとっても非常に有意義な話ではなかったかと思います。
  個別のテーマの簡単な内容は上記の通りですが、全体的な感想としましては、やはり今最もホットなテーマということで、出席いただいた会員の皆様も非常に熱心な姿勢で参加され、各自必要に応じてメモをしっかり取られていたという姿が印象に残りました。
 以上、簡単ではございますが、国際委員会主催の第2回IFRSセミナーの内容につき記載させて頂きました。第3回IFRSセミナーにつきましては、冒頭に記載の通り、あらた監査法人に担当して頂く予定となっており、その概要につき近畿CPAニュースへ寄稿をして頂く予定です。