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大量合格対応特別委員会・準会員会共催特別講義 |
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大量合格対応特別委員会 委員 鈴村拓也 |
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準会員会 幹事 播磨宏美 |
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1.はじめに | ||||||||||||||||
平成22年3月13日に大量合格対応特別委員会と準会員会の共催により、「試験合格者向けの新人特別研修会」(以下、「特別研修会」)の特別講義を開催しました。「企業内会計士の今、そして今後の可能性」というテーマで、企業内会計士の方を11名講師としてお迎えし、企業内会計士の現状・公認会計士試験合格者の就職環境・多様なキャリア形成について参加者全員で情報交換を行いました。昨年度合格した準会員の方から、今回の特別講義で講師やアドバイザーを務めていただいた、長年のキャリアを積まれた公認会計士の方まで幅広い方々に参加して頂き、とても有意義な時間となりました。 | ||||||||||||||||
2.大量合格対応特別委員会 | ||||||||||||||||
まず、今回この講義を主催した大量合格対応特別委員会についてご紹介させていただきます。 大量合格対応特別委員会は、平成21年10月23日開催の近畿会役員会で実務補習所運営委員会と無料職業紹介所の機能を総合的に運用するため設置され、以下の様な活動を行ってきました。 |
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今回このような特別講義を開催させていただいたのは、今後公認会計士の働き方として期待される企業内会計士について皆様に知っていただこうという思いからであります。公認会計士として活躍の場は監査法人だけではなく、一般企業の中にもあるという可能性について今回の講義で考えていくきっかけになれば幸いです。 | ||||||||||||||||
3.特別講義 | ||||||||||||||||
今回の特別講義ですが、2部制で実施しました。T部で企業内会計士の方へのインタビュー方式での講演、U部では講師等と参加者とのグループディスカッション方式でのフリートークを行いました。 | ||||||||||||||||
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@開会挨拶 | ||||||||||||||||
近畿実務補習所運営委員会増田明彦運営委員長が開催挨拶を行いました。 | ||||||||||||||||
AT部 講演 | ||||||||||||||||
まず、T部で実施された講演ですが、準会員会を代表して荻窪輝明氏から吉田徹氏、清水敬輔氏他、計3名に質問を行い、お話を伺いました。 吉田氏は、大学在学中に2次試験に合格され実務補習を受け、大学卒業後、三菱信託銀行株式会社に入社後、あずさ監査法人、京セラ株式会社を経て、現在は株式会社日本総合研究所にてコンサルタントとして勤務されています。内部統制構築、事業再生、利益管理体制構築等、経営マネジメントに関わるコンサルティング業務に従事されており、監査法人と企業内会計士の勤務形態の違いについて分かりやすく説明していただきました。 |
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清水氏は、関西電力株式会社に入社され、働きながら公認会計士の資格をとられました。現状、経理室計画グループ(計画・IR)リーダーとして、IR、有価証券報告書・決算短信等の作成・開示、内部統制などを担当されております。経営企画、予算管理などに携わったご経験から、少し違った視点でのお話をしていただきました。 | ||||||||||||||||
また、講師としてお招きした2次試験合格後税理士事務所での勤務を経て現在コンサルティング会社で勤務されている企業内会計士の方も、他氏と同様に就職難の時期に試験を受けられており、当時の状況を顧みながら、今の状況についてお話をしていただきました。 ここでは、今回講演して頂いた3名の講師の方から最後にいただいた参加者へのメッセージを皆さんにご紹介したいと思います。 |
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○吉田氏 | ||||||||||||||||
「仕事とは、他者に感謝され、付加価値を認められた結果として対価を頂く」ものである点はどこが職場であっても共通である。どうすればより多くの人に感謝されるのか、高い付加価値を認めてもらえるのか、そのために自分は何ができ、何がしたいのかを、自分なりに考え、確立することが何よりも重要である。監査法人か、企業か、という議論はその中の一つの要素に過ぎない。現代のビジネス環境や職場環境の多様化、変化のスピードは加速度的であり、安全で安定的だと信じていることが一瞬のうちにリスクへと変化してしまうのを、私自身日々の活動の中でひしひしと感じている。失敗ややり直しが許されるうちは、公認会計士という資格や職務内容に過度に拘りすぎることなく、まず、ビジネス環境の渦の中に巻き込まれてみて、変化に対応できる柔軟で多様な力(考え方、視点)を養うことのほうが長い目で見た時に重要だと思う。 | ||||||||||||||||
○清水氏 | ||||||||||||||||
「合格者が増える」=「合格者の質が落ちる」という因果論がありますが、そもそもこの議論自体に疑問を私は持っている。ビジネス能力を成長させるのは、何と言っても実務経験が大切である。1年でも早く社会に出て、実務キャリアをスタートさせて欲しい。その選択肢の一つとして、企業は悪くない。 | ||||||||||||||||
○コンサルティング会社勤務の企業内会計士講師 | ||||||||||||||||
実際に業務に従事している方としていない方とでは、1年後の状況が大きく変わっていると思う。そのため、1日でも早く業務に就けるように、監査法人以外の勤務先についても積極的にご検討いただければと思う。 | ||||||||||||||||
ここでは、スペースの関係で講演の内容を詳細に掲載することはできないので、是非今後行う予定の講演に参加して頂き直接話を聞いていただきたいと思います。これから企業内会計士を目指される方も、そうでない方も得るものがきっとあるはずです。 | ||||||||||||||||
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BU部 グループディスカッション | ||||||||||||||||
U部では、参加者を8,9名の11班に分かれていただき、そこに企業内会計士の方が1名、委員の者が1名担当しグループディスカッションを実施しました。各グループでは、公認会計士が企業に就職することの可能性について議論を交わし、一般企業に勤められる企業内会計士の方の生の声を聞いていただきました。どこのグループでも積極的に議論が熱く交わされ、また、普段あまり接する機会のない企業内会計士の方から自分のキャリアプランを具体化する貴重な情報を聞き出そうとする参加者が多く見受けられました。 参加者の中には、未就職者の方が多くおられ、「試験合格自体は一つの武器にすぎず、実務で学ぶことの方が大きい」、「必ずしも今すぐ実務従事にこだわらず、何より就労経験を増やすことこそが重要ではないか」などシビアな議論を交わす一方、様々な経験を積まれている魅力的な企業内会計士の方々に刺激を受け、「キャリア形成に関して、視野が広がった」、「これからのキャリアプランに目からウロコな話が聞けた」など、多数の前向きな感想をいただきました。 |
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C閉会挨拶 | ||||||||||||||||
大量合格対応特別委員会を立ち上げ、未就職者問題解決に向けての船頭役を担う佐伯委員長が閉会挨拶を行いました。業界のこれまでの動きと今後の動向、また公認会計士の先輩として後輩への熱いメッセージを送り、会場を沸かせました。 | ||||||||||||||||
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4.大量合格対応特別委員会の今後の活動 | ||||||||||||||||
大量合格対応特別委員会では、昨年10月に設置されて以来、公認会計士試験合格者の増加に伴う問題に対し、様々な方向から活動を行って参りました。今後の当面の活動としましては、企業内会計士のネットワーク化を図り、業界の処々の問題を検討しつつ、公認会計士の社会的価値を高める活動、またそれを社会で認知されるような活動に励み、活躍の場を広げることに貢献したいと思っています。 |