年頭所感

年頭所感 

金融庁
総務企画局 開示業務室長

齋藤 馨

 新年明けましておめでとうございます。
 日本公認会計士協会近畿会会員の皆様におかれましては、日頃から企業会計・開示制度や公認会計士制度につきまして、深いご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 新年を迎えるに当たりまして企業会計・開示制度及び公認会計士制度を巡る動向と今後の展望につきまして所感を述べさせていただきます。

 はじめに昨今の企業会計制度を巡る動向について申し上げます。ご高承のとおり、昨年8月3日に開催された企業会計審議会総会における会長発言において、当面の会計基準設定を巡る考え方が整理されたところであります。この考え方に沿って、財務会計基準機構に「単体財務諸表に関する検討会議」が設置され、現在、開発費、のれんといった具体的な会計基準の単体の取扱いの検討が精力的に進められているところです。このような民間の取組みの中で、公認会計士あるいは日本公認会計士協会の方々が大変ご活躍をされており、大変心強く思っております。単体に係る会計基準は連結以上に、会社法会計、税法会計、監督会計、政府調達等の諸制度と密接な関係を有しており、当庁といたしましてもそれらに十分配慮していく必要があると考えております。

 次に開示制度について申し上げますと、四半期報告制度及び内部統制報告制度が導入されて2年を経過いたしました。これらの制度が今まで混乱なく運用されているのは、皆様のご努力とご協力のおかげです。  制度導入後2年が経過し、今まで皆様や企業の方々から様々な御意見・御要望が寄せられているところですが、そうした中、昨年6月18日に閣議決定された政府の「新成長戦略」の実現に向けた道筋を示すため、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」を12月に取りまとめて公表いたしました。その中で、「四半期報告の大幅簡素化」及び「内部統制報告制度等の見直し」が挙げられており、今後見直しが行われる予定です(執筆時点)。当庁としては、制度の趣旨を踏まえ、利用者ニーズにも留意しつつ、企業等に過度の負担をかけることなく、効率性と有効性のバランスをとりながら意味のある制度が整備されることを目指しております。今後とも四半期報告制度及び内部統制報告制度の趣旨をご理解いただき、引き続き、ご協力と適切な対応をお願いします。

 また、公認会計士制度について言えば、その試験・資格制度に関する見直しについて、「公認会計士制度に関する懇談会」において議論され、昨年7月に中間報告書がとりまとめられたところです。
 当庁としては、企業活動や会計基準等の国際化の動きが進展する中、企業内容等の開示の適正性を確保し、市場の公正性・透明性を高めるためには、我が国会計監査の更なる充実を図るとともに、会計専門家の活用等の促進を通じて、企業における会計実務等の更なる充実を図っていく必要があると考えています。このため、上記の中間報告書を踏まえ、公認会計士試験・資格制度の見直し等について、必要な対応を行っていくこととしています。

 さて、昨年は、監査法人に所属していた公認会計士がインサイダー取引を行い、当庁から課徴金納付命令及び業務停止処分を受けるという事件が発生しました。本件につきましては、日本公認会計士協会からも会長声明が公表されたところです。皆様方におかれましては、今一度、市場のインフラを担う者としての自覚を強くお持ちいただき、今後とも金融資本市場の信頼性向上に努めていただくことを期待しております。

 我が国の経済情勢は、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることなど昨年に引き続き息の抜けない状態が続いています。また、IFRSの世界的な広がりなど、日本経済や会計士業界を取巻く環境は、ダイナミックかつ急速に変化しております。本年も監査対応が難しい年になろうかと思われますが、是非とも、市場の番人あるいは日本経済の良きアドバイザーとして、強いリーダーシップを発揮して難局を乗り切っていただきたいと考えております。皆様方のご理解とご協力をいただきながら、当庁としても、一丸となって頑張っていきます。

 最後になりましたが、貴会のますますのご発展と会員の皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈りして年頭のご挨拶といたします。