| 寄稿 |
六回目の卯年を迎えて
石川昌司
新潟県にある
髙柳町は、別名「じょんのびの里」と標示されていて、「ゆったり、のんびり」の意味だそうです。友人、比佐会計士いわく、六十歳を過ぎると下り坂の人生だから、大いに楽しめよ。元気なうちに・・・。まさにその通りで、山崎武也著の「60歳からの人生の愉しみ方」を目下読みつつ、実践を試みていますが、やはり仕事人間のままで過ごしています。長年経営にタッチしてきた、監査法人大阪事務所を二年前にスッパリ引退したものの、暇になり過ぎたので、昨年税理士法人を設立し、少しは手帳が黒くなってきたので、これからの人生をゆったり、のんびり楽しみつつ、限りある人生を有意義に過ごしたいと思う毎日です。
元部下の会計士達によく言われます。「石川さんの時代の会計士業は恵まれていたでしょうね。周りから見ていてそう思います。」一昔前の監査は今と違って、会社の正常な発展を願う監査で、会社とのコミュニケーションあり、経営助言ありで先生と呼ばれるにふさわしい仕事をしているなあ〜と実感していました。過日、元の監査クライアントに別件用事で訪問した際に、経理部長に苦言を言われました。今の監査法人の先生方は、熱心ですね〜。毎晩九時頃までがんばって、会社でパソコンをにらんでおられますよ。おかげで、我々は帰宅できないのです。
今の監査は、試査を前提としたリスクアプローチから始まる膨大なる監査ツール・ソフトをパソコンを通じて熟し、さらに四段階からなる審査書類の作成、時代が求める内部統制の適否、IFRSの導入、金融庁の審査に関係する書類の作成と作るべき書類が山ほどあり、会社のご不満も判るのですが、会計士も大変な作業を求められているのも事実です。
最近は合格者の増加により、マンパワーが急激に充足し、逆に監査クライアント獲得営業が活発になってきたと耳にしますが残念な傾向だと思います。乱文になりましたが、後輩の会計士の皆さん、常に粉飾・不正を見抜く事を前提とした監査の質の向上に努め、企業を批評するのみでなく、正常なる発展に寄与する監査であってほしいと願い、卯年を迎えた年頭の所感とします。 （元近畿会副会長）