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1.金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン |
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アクションプランに関するヒアリングに対するJICPAの主張 |
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市場の信頼性回復・活性化に向け協力。 |
A |
JICPAはIFRSの導入を支持、コンバージェンスの継続が重要。ASBJの会計基準の開発活動、ガバナンス機能強化を支援。
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B |
公認会計士試験合格者の急激な増加で幾多の問題が発生。 |
C |
国際的な教育の基準との整合性を踏まえた、中長期的な観点からの試験制度見直しが必要。 |
D |
公認会計士監査制度は、国際競争力を維持向上する必要がある。 |
E |
財務情報を作成する企業にも、一定の会計の専門的識見を有する者が配される制度設計が必要。 |
F |
公認会計士業界はもとより、経済界も含めた教育・育成基盤の整備が必要。 |
G |
JICPAの自主規制機能の一層の強化・充実を図る必要がある。 |
この結果最終のアクションプランは下記の通りとなった(抜粋)。 |
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T.企業等の規模・成長段階に応じた適切な資金供給 |
1.中小企業等に対するきめ細かで円滑な資金供給 |
(2) |
中堅・中小企業の実態に応じた会計基準・内部統制報告制度等の見直し |
2.新興企業等に対する適切な成長資金の供給 |
(1) |
新興市場等の信頼性回復・活性化 |
3.機動的な資金供給等 |
(2) |
開示制度・運用の見直し |
(4) |
四半期報告の大幅簡素化 |
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U.アジアと日本とをつなぐ金融 |
1.アジアの主たる市場たる日本市場の実現 |
(3) |
企業における会計実務充実のための会計専門家の活用等の促進 |
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「…「公認会計士制度に関する懇談会」の中間報告書を踏まえ、公認会計士試験・資格制度の見直しについて検討し、関連法案の早急な国会提出を図るほか、必要な対応を行う。」
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(8) |
会計基準の国際的な収れん(コンバージェンス)への対応等 |
2.我が国金融機関のアジア域内での活動拡大 |
V.国民が資産を安心して有効に活用できる環境整備 |
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この内、新興市場等の信頼性回復・活性化策の検討において、有価証券報告書等の虚偽記載の防止に向けた密度の高い情報共有が謳われているが、守秘義務の関係からどの程度のものができるか検討が必要。 |
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2.東京証券取引所の対応 |
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平成22年12月21日に公表された公開草案「マザーズの信頼性向上及び活性化に向けた上場制度の整備等について」は以下の内容となっている。 |
1.市場の信頼性向上に向けた施策 |
(1) |
財務諸表の信頼性向上のための対応 |
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◎上場会社監査事務所による監査以外は受け付けない
(本則市場の新規上場申請者及び本則市場についても同様) |
(2) |
上場審査の実効性向上のための市場関係者との連携の強化等 |
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◎新規上場申請者に関する情報の入手先の多様化
○主幹事証券会社、会計監査人及び財務局との情報共有と対応の要請 |
2.新規上場の活性化に向けた施策 |
(3) |
遡及監査の実施に向けた環境整備 |
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○ |
今後の市場関係者による議論を踏まえ、必要な上場制度の見直しを検討 |
○ |
日本公認会計士協会に対し、いわゆる遡及監査の実施に関連して必要な環境整備を要請
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この内、協会の品質管理レビューでの評価により、上場会社監査事務所登録が未登録となった場合監査人は交代せざるを得なくなるので対応を検討 |
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3.公認会計士試験・資格制度見直しの経緯と議論のポイント |
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問題の発端 |
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レ平成12年前後の「第二次試験合格者増加」の要請
レ日本経済における会計リテラシーの充実
(財務情報作成者側の能力向上) |
A |
平成15年の公認会計士法改正における試験制度改革とその運用 |
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レ監査業務の担い手としてのみならず、監査業務以外の業務の担い手として期待 |
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(企業等が試験合格者の少なくとも半分程度は採用するという前提) |
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レ試験実施の見通しとして、平成30年頃5万人規模 |
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(↓) |
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・監査業務以外の業務の担い手としての基盤未整備
・試験合格者(新試験合格者)の急増
・経済状況・雇用環境の悪化 |
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B |
大量の未就職者の発生 |
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レ公認会計士資格を取得できない者の発生 |
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4.公認会計士試験・資格制度見直しの概要 |
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第10回公認会計士試験制度に関する懇談会においてJICPAの主張が取り入れられ、それまで公認会計士試験合格者数は2千人程度を目安としていたものが1千5百人程度から2千人程度を目安とされた。
また、資格名称は企業財務会計士となり、監査業務はできないことが明示された。この制度に対する協会のスタンスは以下の通り。 |
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(総 論) |
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試験実施者には、第10回公認会計士制度に関する懇談会資料3「平成23年以降の合格者数のあり方について」の1500人から2000人程度を目安とすることの現実的な運用を強く求め、これを前提とし、今般の公認会計士試験・資格制度の見直しについて協会は、新たな資格制度の創設、試験制度の見直しの全体を通じ、理解できる方向にあると認識する。
(個別の内容についての懸念、要望)⇒今後も継続的に対応 |
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@ |
新たな資格制度の創設は、企業においても公認会計士試験合格者を含む会計分野の有為な人材を求めるという企業側の要望を反映したものであり、その受け入れに関し、企業側の実効性のある対応を求める。 |
A |
企業のみならず地方公共団体等公的分野でも公認会計士試験合格者を含む会計分野の有為な人材の確保・育成が必要である。 |
B |
平成15年の試験・資格制度改革の効果が検証されないまま現在に至っている。今次の制度の見直しについては、その数年後に検証し、必要な場合には、所要の措置を講ずることを望む。 |
C |
「会計士」という共通語が含まれる業務範囲の異なる2つの資格名称は、誤認に基づく混乱を発生させることに懸念する。 |
D |
ほとんどの受験者は監査を担う「公認会計士」を目標に受験をしており、新たな資格制度の創設で現状の深刻な未就職者問題をすべて解決できるかどうかは、今後の制度運営次第である。 |
E |
企業財務会計士の協会への入会にあたっては、その会員の資格について、今後さらに検討することを要望する。なお、協会の入会の形態はどのようなものであろうとも、公認会計士と同等の権利はないものと考える。 |
F |
公認会計士・監査法人の業務範囲について、今次の改正にあたっての附帯決議をいただくことも視野に今後も継続的に要望を続ける。 |
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また、試験合格者へのJICPAの対応として以下のものが紹介された。 |
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ア.JICPA Career Navi の構築 (H22/11/公開)
CPA(合格者を含む)と求人企業のマッチングサイト
イ.PRパンフレットの作成(事業会社、公認会計士事務所等に向け)
ウ.企業向け採用説明会の開催(東京、名古屋、大阪で12月に開催)
エ.実務補習所入所に係る費用の無利子貸付制度(協会準会員向け)
オ.新人特別研修会の企画 他 |
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この後、質疑応答の時間がもたれ、試験制度改正に対して様々な意見が出されました。制度そのものに係る問題であり、関心が高く、活発かつ厳しい意見が出されましたが、会長から一つ一つ丁寧に回答がなされました。最後に会に参加された未就職者から質問があり、2年間未就職でいる不安を、悲痛な思いで吐露されました。こうした思いをさせないためにも、朝令暮改を厭わず、試験合格者の削減は急務なものと思います。 |