報告

国際委員会主催
「第4回IFRSセミナー(5回シリーズ)」

増田俊郎

 
 IFRSセミナー第4回につきましては、新日本有限責任監査法人が担当いたしまして、以下の日時、場所、テーマで行われました。
 

 
 まず、最初に私からIAS第19号「従業員給付」について、関係する基準、適用範囲及び定義、会計処理、開示、今後の方向性、日本基準との相違についてケーススタディーを用いながら説明いたしました。まず、国際会計基準においては従業員給付の定義が明確になっていること、適用範囲が従業員においても常勤、非常勤が対象となること、あと取締役や役職者も含む幅広い範囲になっていることを強調いたしました。
 従業員給付の各論においては、例示、認識及び測定の説明をしました。有給休暇引当金とその他長期従業員給付には、国際財務報告基準特有の会計処理になります。有給休暇引当金においては、ケーススタディーを使用するとともに実務的な計算方法についても説明いたしました。その後、従業員給付のメインテーマである退職後給付について説明いたしました。退職後給付については、確定給付型の会計処理において日本基準と異なる割引率の算定方法、退職給付債務の期間配分方法、過去勤務債務の認識方法、数理計算上の差異の認識方法に重点をおいて解説いたしました。また、IFRIC第14号におけるアセットシーリングの考え方、会計処理について説明いたしました。
 開示については、IFRSでは日本基準と比べて詳細な幅広い開示項目が要求されているため、IFRS適用において、開示の情報入手に十分な準備時間が必要になると思われます。最後に、従業員給付の今後の方向性として、2010年4月の公開草案の内容を説明するとともに、今後現行のIAS第19号の内容を抜本的に見直されるため、今後の動向に注意することが必要である旨をお伝えしました。

 続いて、大坪講師よりIAS第37号「引当金、偶発債務及び偶発資産」について、関係する基準、適用範囲及び定義、認識、測定、日本基準との違いについてケーススタディーを用いて解説がありました。引当金の認識については、3要件である、過去の事象に起因した現在の債務であること、資源の流出の可能性が高いこと、債務の金額の信頼性のある見積り、についてフローチャートを用いて解説がありました。資源流出の可能性が高いとは、IFRSでは50%超の確率で発生する場合になります。その他、IFRSにおいて推定的債務については明確な規定があることが付け加えられました。また、日本基準とは異なる不利な契約やリストラクチャリングについて明確な規定がある点を、強調して説明されました。最後に、今後の方向性として、2005年6月及び2010年1月の公開草案の内容として、改訂点、受領されたコメント、検討予定事項に重点をおいて説明がありました。引当金の会計処理においては、測定及び認識において、経営者の判断が大きく影響を及ぼすものになるので、監査人としても判断が難しく、また重要な項目であると思います。

 最後に、IAS第18号「収益認識」、IAS第11号「工事契約」について徳野講師より説明いただきました。内容は大きくわけて次の3つのテーマ、@IAS第18号収益認識、AIAS第11号工事契約、B収益認識モデルの概要に関しまして、各テーマにおける関係する基準、適用範囲及び定義、認識及び測定などについて日本基準と比較しながら説明されました。

 IAS第18号収益認識においては、日本基準と異なる取引の識別の必要性、収益の表示方法、収益認識の要件などを実務的な例を用いて解説されました。収益の認識において、物品販売による収益の場合は、重要なリスク及び経済価値の移転が必要であること、役務の提供による収益においては、取引の成果が信頼性をもって見積もれる場合には、取引の進捗度に応じて認識しなければいけない点を特に強調して説明されました。IAS第11号工事契約については、日本基準と異なる点で、工事完成基準は認められないこと、工事の成果が信頼性をもって見積もることができない場合は、発生した工事原価が回収可能であると見込まれる範囲内で収益を認識することなどを中心に説明されました。
 収益認識モデルは、国際会計基準審議会と米国財務会計基準審議会が、公開草案「顧客との契約における収益認識」を公表した際に提案されたモデルになります。その内容は、顧客に対して約束した物品及びサービスを提供する契約に関して、その収益認識の金額、時期及び不確実性を決定するにあたり、企業が適用すべき原則を規定しています。

 提案されたモデルは、以下に示す5つのステップから構成され、企業は当該ステップに基づき、収益として認識すべき適切な金額及び時期を決定することになると説明がありました。

 1. 顧客との契約の識別
 2. 契約における独立した履行義務の識別
 3. 取引価格の決定
 4. 取引価格の独立した履行義務への配分
 5. 各履行義務の充足時点における収益の認識

 収益認識においては、大幅に見直しが進められていることから、かなり関心が高い分野であるとの説明をされました。

 IFRSセミナー第4回の内容は上記のとおりになります。セミナーに参加された方の人数は昨年よりも多く、またセミナーの後も質問にこられる方々が多く、今、IFRSが我々の業界において注目されていると改めて感じました。日本社会が国際化されるにおいて、会計の業界でも国際的な知識が要求されるのであると思います。このIFRSは現在、各分野で国際会計基準審議会と米国財務会計基準審議会との共同で現行の基準を見直されており、大きく変わっていくと思われるため、今後の動向が注目されます。