報告
準会員会活動報告

企業内会計士の転身事例から学ぶキャリアプランセミナー

日本公認会計士協会準会員会近畿分会 幹事 石田 一樹
幹事 中西 崇雄

1. はじめに
 平成23年9月10日(土)、日本公認会計士協会準会員会近畿分会では、就業多様化対応委員会、企業内会計士ネットワーク小委員会、日本公認会計士協会近畿会・京滋会・兵庫会の後援の下、「企業内会計士の転身事例から学ぶキャリアプランセミナー」と題し、公認会計士のキャリアを考えるセミナーを開催いたしました。
 当セミナーでは、監査法人から転身され、企業内会計士として経理やコンサル等の監査業務以外のフィールドで活躍されている方4名をお招きして経験談をお話しして頂いたり、参加者の方を交えてグループワークを行いました。昨年合格された準会員の方から、監査法人でキャリアを積まれた若手の正会員の方まで、幅広い方々に参加して頂き、大変有意義な時間となりました。
 
2. イベント内容について
 当セミナーではコンテンツを以下の3部に編成して行いました。
第1部「就業多様化に関する業界事情〜協会の動向、企業への働きかけ〜」
第2部「監査法人からの転身事例紹介」
第3部「今後のキャリアプランについて」(グループワーク)
<具体的内容>
第1部 「就業多様化に関する業界事情〜協会の動向、企業への働きかけ〜」について
 第1部では、就業多様化対応委員会委員長の種田ゆみこ氏に、公認会計士及び公認会計士試験合格者に対して、「就業多様化」というように「監査法人以外での働き方」があるということや、協会の動向として、関西三会主催で事業会社向けの合格者採用説明会の実施や、本部無料職業紹介所運営「JICPA Career Navi」(就職支援システム) HPの開設により、これまで多くの事業会社に求 人を出してもらっていることを、さらに、事業会社へ就職した方がどのような業務についているか などをご説明頂きました。
  また、企業内会計士ネットワーク小委員会委員長の清水敬輔氏に企業内会計士ネットワーク小委員会について、会計士という資格保有者同士のコミュニティーを作り、その中でお互いに情報交換することによって会計士の資格価値の向上を図るということ、企業内会計士のネットワークは関西だけでなく、全国に広がりつつあるという事などをお話しして頂きました。
第2部 「監査法人からの転身事例」について
 第2部では監査法人から転身され、経理業務やコンサル業務などの監査以外のフィールドで活躍されている企業内会計士3名の方にご自身の転職経験のお話しをして頂きました。以下では3名の発表者の方のお話の一部をご紹介したいと思います。
大手監査法人から東証一部上場会社(経理部)に転身された企業内会計士
  監査法人勤務時に、会社側と会計士側で新しい会計の知識に大きな格差があり、それを埋めたいと思って会社側に転職しようと考えた。経理は会社の数字に関する情報が集まってくるので、将来は企画部署など考えていたとしても、会社の事を一番理解できる部署なので、最初は経理が良いと思う。また、社内にいると会計士という事だけで他部署から色々な相談を持ちかけられることも多い。
   監査法人での監査業務も確かに役に立つと思うが、単に帳簿や証憑と突合するだけでなく、利益や金額を見てもっと「利益率が悪い」や「金額がやけに大きい」等、色々なことを感じてもらいたいと思う。そして、監査をする側だけに会計士がいるのではなく、作成する側にも来てもらえることを期待している。
大手監査法人から、中堅不動産会社、東証一部上場企業を経験された企業内会計士
  転職に関しては自らが面白い、やりたいと思うことに従って、皆さんが納得する方へ行けばいいと思う。私の場合、初めての転職先はベンチャー企業であったため、内部統制の整備を一からしなければならなかったが、ここで監査法人での内部統制監査の経験が役に立ったと思う。また、会計士の知識が転職に生きるかどうかは人それぞれであるとは思うが、転職後を具体的に意識して監査業務に取り組めば生かせるものも変わってくると思う。
大手監査法人からM&A仲介会社(営業:ファインダー)に転身後、現在独立された企業内会計士経験者
 どうせ転職するのなら監査とは全く違う世界で働いてみたいと思い、M&Aの営業という世界に飛び込んだ。その中で感じたことは会計というのは会社の経営者は常に認識されており、営業というフィールドの中でも会計の話は話題になるし、会計士の資格はそういった方と面談させて頂く際に非常に役に立った。
 4人目の大手監査法人から東証一部上場会社
 (内部統制監査)に転身後、現在コンサルティング会社(経営コンサルティング)に勤務される企業内会計士の方には、3名の方のお話の総括として、現在、事業会社が公認会計士を採用するニーズは何なのか、事業会社に就職した際に、専門家として何が求められるのか、そして、監査法人と事業会社を比較して、監査法人と事業会社での働き方にどのような違いがあるかといった事を体系 的にお話しして頂きました。
第3部 「今後のキャリアプラン」について(グループワーク)
 第3部では第1部及び第2部において情報として 得たことを参考として、それを自らに置き換えて 考えていただく機会として、グループワークを行 いました。
  6〜8人程度のグループに分かれて以下の3つのテーマについて意見を出し合っていただきました。
会計士は会計士ではない人に比べて何が強いと思いますか?
会計士は会計士ではない人に比べて何が弱いと思いますか?
強み、弱みをもとに「強みを伸張」又は「弱みを克服」するために今できるアクションは何でしょうか?
 グループワークでは、グループごとに出た意見の数だけポイントを付与したり、他のテーブルと異なる意見が出た場合には10ポイントが付与される等のゲーム性を取り入れたこともあり、各テーマにつき2分という限られた時間にもかかわらず、1つのグループで20個前後の意見が出る等、非常に活発な議論が行われました。
3. 参加者の声
 今回、当キャリアプランセミナーでは参加者の方にアンケートを実施致しました。以下ではそのアンケートの回答の一部をご紹介させていただきます。
イベントを通じてキャリアに関する考え方はどのように変わりましたか
自分自身を見つめなおすことから始めないといけないと思った。
もっと自分を知る必要があると思った。また、さらなる自己研鑽が必要であるとも感じた。
様々な道があることと実際の声を聞くことで再認識でき、気持ちが楽になった。
本日の感想がございましたらご記入ください。
就職に関する様々な取り組みの存在を知ることが出来て良かった(第1部について)。
様々な方のキャリアに生で触れることが出来て意義深かった(第2部について)。
強み・弱みについて、自分以外の、他法人の人の意見を聞き、共感することが多かった(第3部について)。
※括弧内は執筆者が加筆
 
4. 最後に
 土曜日にもかかわらず58名もの方にご参加いただき、参加者の皆様のキャリアに対する関心の高さを感じました。今回発表して頂いた4名の企業内会計士の方もおっしゃっていたように、やはり自分自身のキャリアについて考える際には、一度自分自身を見つめなおすことが重要であると思います。
 現在、公認会計士業界はIFRSの導入や税理士法改正の問題、そして待機合格者の問題など、大きな変革の時期にあります。このような状況の中で、今後、公認会計士の資格価値を向上していくためには、監査業務にとらわれずに様々な業界で公認会計士の持つ専門性を生かしていくことが必要になってくるのではないかと考え、今回、このような公認会計士のキャリアについて考えるセミナーを企画致しました。
 今回のキャリアプランセミナーが、皆様の今後のキャリアを考える一助となれば、幸いです。
 また、最後になりましたが、今回のキャリアプランセミナーの開催にご協力いただいた皆様に改めて厚く御礼申し上げます。