午後の部 13:10〜14:50

 

『企業内会計士に期待される役割と将来の展望』の発表を終えて

企業内会計士ネットワーク小委員会 委員長 清水敬輔

 
 9/16(金)にリーガロイヤルホテル広島にて、第32回日本公認会計士協会研究大会が開催されました。近畿会・企業内会計士ネットワーク小委員会では、「企業内会計士に期待される役割と将来の展望」と題して発表を行いましたので、ご報告いたします。
 
○午後の部
パネリスト 株式会社エディオン 取締役財務経理本部長兼IR部長、
公認会計士 麻田祐司氏
株式会社ダスキン 経理部連結管理室長、
公認会計士 今井幸彦氏
リソース・グローバル・プロフェッショナル・ジャパン株式会社
ディレクター、公認会計士 茶田佳世子氏
関西電力株式会社 経理室計画グループリーダー、
公認会計士 清水敬輔
コーディネーター 株式会社日本総合研究所 総合研究部門経営コンサルティング部副主任研究員、公認会計士 吉田 徹氏
オブザーバー 日本公認会計士協会専務理事 木下俊男氏
日本公認会計士協会常務理事 佐伯 剛氏
 
冒頭に吉田さんから登壇者全員の紹介があった後、以下のように発表を進行しました。

プレゼンテーション
 清水より、関西での企業内会計士ネットワークの活動、本部の組織内会計士対応PTの取組みの方向性について、活動の一背景となった最近の試験合格者の就職問題にも触れながら説明しました。
 企業内会計士のネットワーク化を通じて、メンバーの能力向上や人脈形成を支援し、目に見える付加価値を企業内会計士に付与したいこと。これにより、企業内会計士のプレゼンスを高め、引いては公認会計士ブランドの維持・向上につなげたいことを説明しました。

パネルディスカッション
 前半を「会計士は企業内でどのように活躍できるか」、後半を「企業内会計士の将来の展望」に分割して行いました。
 麻田さんは、社内で会計士を活用する企業経営者の立場から、企業では現場を知ることが重要であり、協調性や説明力、交渉力も求められること、おかしいことを「おかしい」と率直に言い、正しい情報を速やかに開示する姿勢を持つ会計士人材は、企業には貴重であること、企業に勤めるからには長く働いて欲しいことなどを説明されました。
 今井さんは、用意されたスライドを示しながら、監査法人と企業とで働き方の違いを説明されました。新しい会計基準等の情報量に監査法人と企業とでは格差があるので、会計士はもっと企業に流入すべきであること、監査法人から企業へ、逆に企業から監査法人へという双方向の人材流動化の必要性などを主張されました。
 茶田さんは、海外でのご経験および女性の観点から、女性にとって企業勤務は働きやすい面もあること、会計士は既存の企業組織に新しい風を吹き込む人材になれる可能性があること、海外では女性役員は当り前になっているので日本でも女性会計士が積極的に企業に進出して欲しいことなどを述べられました。
 清水は、一貫して企業に勤務する立場から、会計士が企業等へ広く入り込むことで監査の実効性も上がる可能性があること、“会計士=決算技術者”ではなく戦略業務にも有能であると企業に知って欲しいこと、企業経験のみの会計士も監査人とは異なる強みを持った会計専門家の一類型であることなどを述べました。
 
フリーディスカッション
 会場から質問を受けて、パネリスト、オブザーバーが回答を行いました。キャリア形成のキーとなった能力・経験、企業内会計士の倫理意識、企業に新卒採用された合格者の実務補習の問題、クライアント企業へ転身する際の独立性、CPEの対応などについて質問がありました。
 
 最後にオブザーバーからお言葉を頂戴し、木下専務理事からは、国際的には会計士の半数以上が企業内会計士であること、企業が求める会計士像に適合するためには、単に監査経験があるだけでなく加えて他の強みも必要であること、日本の会計士も今後は語学力を含めて国際的に遜色ない能力を備えていく必要があることが説明されました。
 佐伯常務理事からは、企業内会計士のネットワーク化を東日本でも準備しているが、企業に優秀な会計士を送り込むことは、企業、監査法人の双方にメリットがあり、協会としてもネットワーク活動を支援していきたいと述べられました。

 当日は120名定員の会場に、定員をはるかに上回る事前申込みがあり、補助椅子が可能な限り運び込まれ、その椅子も満席となる盛況でした。(目分量で160席程度)
 吉田さんの軽妙で落ち着いた司会や、パネリスト、オブザーバーの皆さんの巧みなお話で、しばしば会場から笑いも起き、深く頷きながら聴いてくださる方の姿も少なくなく、フリーディスカッションでも間髪を入れず次々と質問の手が挙がるなど、アクティブな研究発表になったのではないかと感じています。
 また、会場には大学の先生も交じって聴いておられたり、週刊「経営財務」の取材を受けて記事にしていただけた(No.3033、9月26日号)など、私たち発表者にとっても反響の大きさに嬉しい驚きがありました。本発表を機会に、企業内会計士の活動や今後の課題に新たに関心を持っていただける方々を確実に増やすことができたと手応えを感じています。
 当日は、近畿三会からも多数の方々がお越しくださり、激励をいただきました。ご多忙中にもかかわらず遠方までご足労いただきましてありがとうございました。近畿三会の皆様のご支援があってこそ、無事に発表を終えることができたと思います。心から感謝を申し上げます。