報告

日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会関西地区三会との
共同研究会の報告(平成23年度第3回)
「過年度遡及会計基準の会社法に与える影響」について

監査会計委員会副委員長 山添 清昭

 
【日時】 平成23年11月1日 17時〜19時
【会場】 日本監査役協会監査支部 会議室
【出席者】 日本監査役協会関西支部 大貫誠氏他所属監査役 他8名
近畿会:高濱滋副会長、廣田壽俊監査会計委員会委員長 他6名 
兵庫会:仲尾彰記会長 他3名 京滋会:中村源副会長 他1名
【報告者】 山添清昭(近畿会)

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 平成23年11月1日、日本監査役協会関西支部と日本公認会計士協会関西地区三会との平成23年度第3回の共同研究会が開催されました。
 今回の共同研究会では、過年度遡及会計基準の会社法に与える影響について、報告を行いました。
 
1. はじめに
 平成21年12月4日付けで、企業会計基準委員会(ASBJ)より、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「過年度遡及会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」(以下「過年度遡及適用指針」という。)が、公表されています。平成23年3月31日付、「会社計算規則の一部を改正する省令」(平成23年法務省令第6号。以下「本改正省令」という)が公布、同日施行され、過年度遡及会計基準の会社法上の取扱いが示されています。過年度遡及会計基準は、平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更および過去の誤謬の訂正から適用が求められることになります。
 本改正省令の改正内容を整理し、報告を行いました。報告では、改正された株主資本等変動計算書および注記表の取扱いを中心に、わかりやすく説明することに重点を置きました。文中意見に関する箇所は、報告者の個人的意見によるものであることをご
了承ください。
 
2. 報告の内容
「過年度遡及会計基準の会社法に与える影響」のそれぞれの項目について、以下の観点より、報告を行ないました。

 
 上述のうち、「過年度遡及会計基準」をめぐる改正の状況、新基準の全体の構成、新基準の重要ポイントについては、近畿C.P.A.ニュースの6月号「『会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準』について」(拙著)(同6月号P4〜P8)において、まとめていますので、参考にしてください。
 
3. おわりに
 平成23年4月1日以降の開始事業年度より、過年度遡及会計基準が導入され、すでに平成24年3月期の第1四半期より、過年度遡及会計基準の適用がスタートしています。過年度遡及会計基準の導入により、会計方針の変更や会計上の見積りの変更が生じた場合の注記の記載の仕方は、これまでのものと大きく異なることになりました。また、会計上の変更と過去の誤謬の訂正の取扱いとの区分が明確になります。会計上の変更は、会計方針の変更、表示方法の変更、会計上の見積りの変更に区分され、それぞれで取り扱いが異なります。とくに、過去の誤謬が生じた場合の会社と監査人の対応には、留意が必要です。
 新たに、比較情報の概念が財務諸表に導入され、有価証券報告書、四半期報告書の財務数値に比較情報の記載が求められるようになっています。当期の監査意見の対象となる当期の財務諸表に比較情報としての前年度数値等も含まれることになり、監査上、比較情報の監査が求められることになり、注意が必要です。
 会社法の連結計算書類や計算書類は、単年度表示とされているため、金商法のような比較情報は、存在しません。このため、会社法で過年度の誤謬の訂正を修正再表示の方式により行った場合には、その累積的影響額を当期の計算書類の期首残高、具体的には株主資本等変動計算書の期首残高の調整として表示することになります。また、会社法上は、一括処理の方式による場合は特段の手続き上の問題は生じませんが、遡及修正の方式による場合は、決算の承認権限に関する問題や株主総会の開催時期、さらには遡及修正すべき書類の範囲など遡及修正の手続きに関しての問題が生じることが考えられ、留意が必要です。
 会計上の変更や過去の誤謬の訂正など、これまでの取扱いと大きく変更になっており、新たに導入された過年度遡及会計基準の取り扱いに適切に対応することが期末に向けた課題であると考えます。