報告

関西地区三会共催
「IFRSセミナー(第2回)」の報告

有限責任 あずさ監査法人 二宮 基

 
1. はじめに
 平成23年11月25日(金)、日本公認会計士協会近畿会の研修室において、近畿会国際委員会の企画による「IFRSセミナー(第2回)」が開催されました。
 平成21年6月に企業会計審議会が公表した「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」を契機として一気に関心が高まったIFRSですが、昨年6月の自見金融担当大臣の強制適用延期発言により日本企業のIFRS適用に対する切迫感はやや緩んだようにも感じられます。そのような環境下にも関わらず、当日は120名を超える会員にご参加いただき、IFRSへの関心の高さ、そして会員の皆さまの向学心を強く印象付けられました。
 当セミナーは、昨年度に実施したセミナーのアップデート版として、IFRSの最新動向をできるだけ織り込んだ内容となっており、ほぼ毎月のペースで全5回開催されます。
 
(最新の開催情報については、近畿会のウェブサイトにある研修会情報掲示板をご参照ください。)
 
2. 第2回IFRSセミナーの概要
 白井弘近畿会副会長のご挨拶で開会し、その後は田中久美子国際委員会副委員長の司会進行により、企業結合/連結財務諸表/ジョイント・アレンジメント/関連会社/財務諸表の表示の各テーマについて、有限責任あずさ監査法人(大阪事務所)におけるIFRS導入支援の専門部署であるIFRS推進部より3名が講師を務めました。
 
3. 研修の内容について
<連結財務諸表/ジョイント・アレンジメント/関連会社>
 連結財務諸表/ジョイント・アレンジメント/関連会社については、平成23年5月にIASBより新基準公表及び基準改訂がなされました。ご存知の通りIFRSは英語で公表されるため、日本語訳が公表されるまでには相当の時間がかかります。上記の新基準及び改訂基準についても公式な日本語訳が発表されていない段階ですので、今回の研修では半分の時間(約80分)を配分して重点的に解説しました。
 従来のIAS第27号「連結及び個別財務諸表」の規定と大きく変わった論点として、IFRS第10号「連結財務諸表」における“支配”の概念及びその判定ステップについては、順をおって特に詳細な解説がなされました。また、IFRS第11号「ジョイント・アレンジメント」についても従来のIAS第31号「ジョイント・ベンチャーに対する持分」から大きく考え方の変更があった領域であり、変更の概要やジョイント・アレンジメントの分類判定にポイントをおいた解説がなされました。
 ボリュームが多く概念的(抽象的)な記述が多いためなかなか理解しにくい会計基準ですが、図示をふんだんに取り入れた研修資料を使用することで理解の一助になったのではないかと思います。
 
<企業結合>
 企業結合のパートでは、まず日本基準とIFRSの関連する基準体系の違いや企業結合会計の全体像を概観し、その後、企業結合時の会計処理(取得法)の適用手順を中心に約40分かけて解説しました。限られた時間で詳細な説明までは踏み込めない論点もありましたが、企業結合についてはとっつきにくい印象をもたれる方もいらっしゃいますので、分かりやすい言葉で全体像を理解してもらえることを意識して説明しました。

<財務諸表の表示>
 財務諸表の表示のパートでは、日本基準の下で開示される財務諸表と比べて特徴的な表示規定を中心に解説するとともに、財務諸表の表示に関してIASBで進められてきた基準改訂プロジェクトの動向について約40分の解説がなされました。IFRSの表示面での特徴について、スライドを使った説明と併せて、例示として任意適用会社であるHOYA株式会社の有価証券報告書を随時参照しながらの説明となりました。具体的な事例を見ることでイメージを掴みやすかったのではないかと思います。
 
4. おわりに
 上記のように盛りだくさんのテーマを3時間の研修に凝縮するということで、さらに金曜日の午後ということもあって、お疲れのご様子が見受けられた方もいらっしゃいました。一方で、各パートの合間には講師に質問に来られる方が何名もおられ、講師を務めさせていただいた身としては、しっかりと聞いていただいた手応えを嬉しく感じました。
 IFRSの主要な基準について、実質4回の研修で解説するセミナーですので、どうしても各回の内容は幅広く盛りだくさんで集中力を要するセミナーになるかもしれません。しかし、たった4回の研修でIFRSの主要エリアについて理解ができるという意味では、非常に効率性の高いセミナーではないでしょうか。我々講師としても、重箱の隅をつつくような解説ではなく、全体像とポイントに重点を置いた分かりやすい解説を心掛けました。最後になりましたが、ご参加いただき真摯な態度で聞いてくださった皆さまに感謝申し上げたいと思います。皆さまの業務の助けになれば幸いです。