年頭所感

2012年の日本公認会計士協会

日本公認会計士協会
会長 
山崎彰三

 
 平成24年の新春にあたり、近畿会の会員及び準会員の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 現在の執行部も三年の任期の折り返し点にかかっているところですが、激動する世界の中で会計・監査と公認会計士を取り巻く環境に大きな変化が起ころうとしています。
 年頭にあたり、いくつかの動きと協会の対応を紹介させていただきます。
欧米における新たな監査規制提案
 欧米では従来の監査の考え方を大きく変える提案が続けて出されています。ECからは、欧州グリーンペーパー(2010年)等が公開され、一方、米国公開会社会計監視委員会(PCAOB)も別な提案を出しました。もちろん、それぞれ背景や対応しようとしている問題が違うので具体的な内容は異なりますが、双方ともに監査事務所の強制ローテーション制度の導入を提案しています。協会としては、これらの提案の背景を十分に理解し注視するとともに、強制ローテーションの利害得失を明らかにし、上策でないことを主張するための検討に入りました。
 
我が国のIFRSの問題
 2009年に企業会計審議会の中間報告に基づき、企業も会計士もそれぞれ、将来のIFRSの我が国への導入に向けた準備に入りました。しかし、2011年6月の金融担当大臣の発言が今後のIFRSの導入に不透明感を与えることになりました。若干の時期の前後はあるにしても、我が国が全くIFRSを導入しないで国際社会で生きていける余地はありません。昨年8月以降、企業会計審議会でIFRS導入に向けて鋭意審議が進められていますが、協会は従来から、国際的な会計基準設定の場で日本が十分な発言力を維持することが国益上必要と主張しています。また、全上場会社一斉強制適用という選択肢よりも、何らかの段階的適用が現実的ではないかと考えていますが、いずれにしても導入準備は新たな段階に入っています。
 
我が国の公会計改革
 2012年中に協会が積極的に進める施策の1つとして、地方自治法の改正に対する対応があります。協会は、複式簿記による発生主義の財務会計制度の確立が、地方自治体の行政の透明性の確保に欠くことができないものであり、その上で、会計監査をベースにした監査制度の再構築が必要であるということを一貫して主張しています。ただ、法改正が具体的に検討されることになれば、地方制度調査会、実際の当事者である首長、地方議会の議員等関係各位の理解を得るための取組みをはじめ、我々自身の能力向上や監査委員や外部監査人として活躍いただいてきた会員のネットワークを強化することが必要であると認識し、そのための施策を実現していきます。
 
公認会計士のあり方論議 
 JICPAニュースレター2011年7月号の「平成23年の公認会計士法改正の経緯と今後の課題」に記載したように、喫緊の課題として、今まで協会としての組織的主張があまり明確ではなかった我が国における「公認会計士ないし公認会計士制度の具体的なあり方」について検討を行っています。一部外部有識者の意見もいただきながら検討を進めていますが、現在のところ、例えば、公認会計士の業務内容、資格制度、会計士協会、会員事務所のありかたといったいくつかの切り口で議論しており、近いうちに初期的な論点整理のようなものを会員各位に提示することにしています。
 
継続した施策 
 このほか昨年から継続して進めている施策には、税務業務部会の活動推進、協会組織ガバナンスの再検討、監査業務審査・綱紀事案処理体制の整備、試験合格者の就職活動等への支援、TPP(環太平洋相互経済協定)が公認会計士制度に及ぼす影響の検討、インセンティブのねじれの解消のための会社法制の改正に対する働きかけ等、広範にわたっています。
 すべてについては書ききれませんが、協会執行部は、担当役員をはじめ委員会委員等各位のご尽力によって力強く前進して参りますので、会員、準会員の皆様のご支援ご協力をお願いいたします。

 昨年は東日本大震災と原発事故が発生しました。会員、準会員の中にも少なからず被害にあわれた方もおられます。平成24年がより良き明るい希望の持てる年になることを願ってやみません。
 
(編者注:本年頭挨拶は平成23年11月中旬に執筆されました。)