年頭所感

年頭所感

金融庁総務企画局企業開示課
開示業務室長
 中澤 亨

 
 新年明けましておめでとうございます。
 日本公認会計士協会近畿会会員の皆様におかれましては、日頃から企業会計・開示制度や公認会計士制度につきまして、深いご理解とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。

 昨年を振り返りますと、3月の東日本大震災の発生により、各方面に多大な影響が出た1年でありました。企業開示の関係では、有価証券報告書等の各種報告書の法定履行期限について、政令を制定し、延長する措置を取ることといたしました。今後も、このような事態の発生に対しては適切に対応してまいりたいと考えております。

 続いて、企業開示行政や公認会計士制度を巡る動向と今後の展望につきまして所感を述べさせていただきます。

 先ず、開示制度について申し上げますと、一昨年6月に閣議決定された政府の「新成長戦略」に盛り込まれた施策等について制度整備を行うため、「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が、昨年4月に国会に提出されました。同法律案については、国会審議の過程において一部修正の上、昨年5月に成立・公布となっております。改正事項の中には、開示制度関連のものとして、「英文開示」及び「ライツ・オファリング」(新株予約権無償割当てによる増資)に係る制度整備が含まれております。
 「英文開示」に係る事項は、これまで継続開示書類(有価証券報告書等)のみに認められていた英文開示について、外国会社が我が国市場へ上場しやすい環境を整備し、投資者の投資機会を拡大する観点から、新たに、発行開示書類である有価証券届出書等にまで拡大するものであります。
 また、「ライツ・オファリング」に係る事項は、既存株主の公平な取扱いに配慮した増資手法として投資者保護の観点から積極的な活用を求める声がある「ライツ・オファリング」について、一定の要件の下で、株主全員に対する目論見書の作成・交付を要しないこととする等を内容としております。
 これらの措置は4月1日に施行される予定であり、これらを実施するための金融商品取引法施行令・関係内閣府令の改正案について、昨年11月から12月にパブリックコメントを実施しました。現在、これらの公布に向けて最終的な作業を進めているところです。

 次に、公認会計士制度について申し上げますと、当庁では、引き続き、試験合格者の活動領域拡大に向けた取り組みを更に進めるため、日本公認会計士協会をはじめとする関係機関のご協力により、意見交換会を開催し、課題解決に向けて必要な当面の対応策について検討を進め、「当面のアクションプラン」の再改訂を行いました。この中には、当庁において取り組む施策として「実務従事の対象の拡充」が含まれております。この実現には、政令・内閣府令の改正を要することから、現在、本年4月の施行に向けて、鋭意、作業を進めております。
 課題解決に向けては、日本公認会計士協会において進めていただく取り組みを含め、監査業界関係者各位のご協力が不可欠のものと考えておりますので、引き続き、ご協力をいただきますよう、お願いいたします。

 さて、昨今、適切な情報開示や投資者保護の観点より極めて遺憾な事案が発生しております。我が国市場の公正性・透明性に対し、内外の投資家より疑念を持たれることは憂慮すべきことであり、市場関係者全員が一丸となって対応を行っていく必要があります。
 言うまでもなく、公認会計士あるいは監査法人による監査証明は、企業財務情報の信頼性の確保のため、極めて重要な役割を担うものであり、市場の信頼性確保の基礎をなすものです。公認会計士法では「監査及び会計の専門家として財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与すること」を公認会計士の使命として掲げています。監査業界関係者の皆様におかれましては、こうした自らに課された使命を今一度思い起こされ、引き続き、適切に業務を遂行していただきますことを期待しております。

 最後になりましたが、貴会のますますのご発展と会員の皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈りして年頭のご挨拶といたします。