報告

近畿会女性会計士委員会主催 準会員会近畿分会共催講演会
『職場におけるストレスマネジメント』〜少し疲れた働くあなたへ〜

日本公認会計士協会近畿会 女性会計士委員会 渡邉 美月

はじめに
 12月11日(日)、本町ヴィアーレ大阪にて、『職場におけるストレスマネジメント』と題して、昨今話題となっている「メンタルケア」をメインテーマに、セミナーを開催いたしました。今回は、『しがみつかない生き方「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』をはじめとする数多くの出版で著名な香山リカ氏をお招きするというビッグイベントとなりました。香山リカ氏は、精神科医、そして立教大学教授として多忙な毎日を送られる傍ら、臨床経験を生かして社会批評、文化批評、書評などを手掛け、現代人の“心の病”について洞察を続けて注目を集めておられます。
 この「メンタルケア」のセミナーについては、実は1年以上も前から温められた企画で、発案があった女性会計士委員会のミーティングでは「最近とてもメンタルケアに興味がある」「絶対に実現したい!」という声が大変多く挙がっていました。私を含め委員の皆様の思い入れも一層強いものだったのではないかと思います。
 セミナー当日は80名余りの会員・準会員等の方々にお越しいただきました。香山氏のファンだという方も多かったのではないかと思います。恒例の託児所設置については、お子様17名をお預かりしました。

セミナー内容
 あっという間の1時間半でした。ご講演の内容をかいつまんでまとめてみます。
公認会計士は、現代人が一般に抱えるストレスに加えて、専門性の高い職業ならではのストレスを 抱えるという、二重に辛い環境にある。
一般的なストレスの原因の一つとして、仕事をする意味が「単に生活の糧を得る手段」というものから、「自己実現の場・自分らしさを実現する手段」に変わってきていることが挙げられる。「自己実現しないと働いている意味がない」と思っていると、だめだった時失望してしまう。
高度な専門職ならではのストレスとは、要求される水準がとても高いことや、関連しているが専門外の範囲であってもパフォーマンスを求められること。さらに、あるべき会計処理とクライアントとの関係の狭間に置かれてしまうというように、
 「板挟み」になるケースも多いのではないか。ストレスは、両極にある 環境や意見などの間に置かれている時に感じやすいが、その中で折り合いをつけて判断するということはものすごく大変なことだ。
うつ病は、気持ちが落ち込む場合だけでなく、集中力が落ちるだけということもあるし、体の不調が現れる場合にも、うつが背後にあることもある。「前にできていたことが思い通りにできなくなる」のがうつ病と考えればよい。
板挟みになった場合は、自分を客観視してみるだけでも効果がある。冷静になれば、優先順位がわかるもの。マルチタスク能力がもてはやされているが、そんなに私たちの脳は器用ではないし、物事をいっぺんには片づけられない。
一回しか起きていないことを、いつもこうだ、みんなこうだと捉えてしまう「過度の一般化」のクセを直そう。
どんなに幸せそうに見える人も、幸せそうに見せるのがうまい人なだけかもしれない。そんな他人と自分を比べるのは意味のないこと。気にしないのが一番。
 
セミナーを終えて
 セミナーを終えて、一緒に参加した同僚と「この話、わたしたちはともかく、職場のあの人に聞いてもらいたい」と言い合っていました。「心の病」というと、どうしても重いとか暗いイメージが湧いてしまいますが、誰がいつなってもおかしくないくらい、わたしたちの身近にあるものです。どうしたらストレスとうまく付き合っていけるのかと考える方々も多いのではないでしょうか。ストレス対処の考え方として、個人的には、「ほどよし信頼性」のエピソードと「ぐずぐず休日のススメ」のお話が聞けて特によかったと思っています。
 日本の宇宙工学では、100%成功する研究開発を求めるよりも、やりすぎず不足しない程度で開発を止めて何度も実験する方が、失敗しても予算も低いし時間もかかっていないから損失も抑えられて全体としてはうまくいくという主張があるそうです。この「ほどよし信頼性」は、生き方にも言えることです。パーフェクトを求めないで、失敗しても失望しないことが大事ということをお話しされていました。
 次に印象的だったのは、休日の過ごし方についてです。わたしたちの置かれるストレスフルな環境に対して一番効果があるのは、どんな薬や他の解消法よりも、休みをとること、そして、それは必ずしもレジャーに行くことや趣味に勤しむことではないということです。アクティブな休日も悪くないけれど、何も予定を入れず、ぐずぐずだらだら過ごすのが本当の休みなのです。しかし、怠けているとか休日を無駄にしてしまったと罪悪感を持ってしまう人があまりにも多いのだとか。義務と思って、本来の休みをとるべきとおっしゃっていました。
 ご講演では一貫して、どんなにずるずるだらだらのダメな自分でも、認めてあげることが大事というメッセージを強く感じました。この自己肯定を、甘やかしだと捉えたり自信過剰になると恐れたりせずに、心を健康に保つには欠かせないと思いなさいというお言葉には、はっとさせられました。
 気持ちのゆとりを持つヒントを聞くことができた、有意義な日曜日となりました。
女性会計士委員会では、『働き方』をテーマに、様々な視点からセミナーを開催しております。女性だけでなく、もちろん男性にも参加していただけますので、今回参加されなかった方も次回はぜひ奮ってご参加ください。
 
後列: 岡本副委員長、司会者 吉川委員、高濱担当副会長
前列: 宮口委員長、香山先生

以上