報告

準会員会活動報告

準会員会・就業多様化対応委員会共催
就職活動応援セミナー2012
「事業会社への就職・会計士キャリア構築の勧め」

日本公認会計士協会準会員会近畿分会 幹事 中西 崇雄
幹事 井口 文香

1. はじめに
 平成24年2月12日(日)、日本公認会計士協会準会員会近畿分会では、就業多様化対応委員会との共催で「事業会社への就職・会計士キャリア構築の勧め」と題し、2011年度会計士試験合格者を対象にした就職活動応援セミナーを開催いたしました。
 当セミナーでは、企業内会計士として上場会社の経理部で活躍されている方をお招きして事業会社でのキャリアの構築についてお話して頂き、2010年試験合格者による事業会社での就職活動の体験談及び事業会社での待遇や就業体験についてのパネルディスカッション、参加者の方々を交えてのグループディスカッションを行いました。就職活動中の方々を中心に参加して頂き、大変有意義な時間となりました。
2. イベント内容について
 当セミナーではコンテンツを以下の5部に編成して行いました。
第1部「多様化する公認会計士業界〜協会の活動、企業への働きかけについて〜」
第2部「事業会社での実務要件の充足について」
第3部「事業会社でのキャリア構築」
第4部「事業会社勤務2010年試験合格者による座談会」(パネルディスカッション)
第5部「事業会社の面接において頻出となる質問事項について」(グループディスカッション)
<具体的内容>
第1部「多様化する公認会計士業界?協会の活動、企業への働きかけについて〜」
 第1部では、就業多様化対応委員会委員長の種田ゆみこ氏に、就業多様化対応委員会の概要や「JICPA
Career Navi」の運用状況について、Career Naviの採用時期の特徴や、実際の採用実績、採用後の待遇などをご説明頂きました。講演の最後に参加者の方々に対して、自ら動けば必ず就職は決まるので焦らないことが重要であるというエールを送っていただき、参加者の方々には大変励みになったのではないかと思います。
 次に、企業内会計士ネットワーク小委員会委員長の清水敬輔氏に、協会本部が2012年8月を目処に組織内会計士の委員会を立ち上げるということ、そして現在、関西での企業内会計士ネットワーク小委員会のメンバーも150名まで増えているというお話をしていただきました。また、企業内での就業体験談として、 監査をする人はレフェリーという立場として、企業に勤める人はプレイヤーという立場としてどちらも異なる形の会計の専門家であり、どちらが上下と比べるものではないということ、実務を経験する中で身に付けることが出来る、“対人能力”(相手と交渉する力や調整をする力)の重要性を教わりました。企業内会計士として働くことはもちろん、一社会人としての能力を身に付けた上で、さらに他者とは異なる付加価値を提供出来る人材になれるように努力が必要であると思いました。
◆第2部「事業会社での実務要件の充足について」
 第2部では、就業多様化対応委員会副委員長の増田明彦氏に、公認会計士登録の際に必要となる「実務要件」についての留意点をご説明頂きました。
 また、金融庁のホームページ内にある「公認会計士の登録Q&A」をその場で開いてスクリーンに映し出し、過去に実務要件として認められた業務内容の事例等を参加者と一緒に確認しました。その中でキーワードとして挙げられる言葉は、「財務分析」であることを教わりました。より具体的な内容の記載例を確認することが出来たため、実務要件として認められる業務内容のイメージや、注意事項を知ることが出来ました。既に実務に就いている私達も、改めて実務要件を確認することができ、大変有意義な時間が過ごせました。
◆第3部「事業会社でのキャリア構築」について
 第3部では、企業内会計士として経理部で活躍されている今井幸彦氏に、「事業会社内でのキャリアの構築」をテーマにお話して頂きました。
 はじめに、待機合格者の方の思いについて、実際にご相談を受けた内容を紹介して頂きました。それを受けて監査法人と事業会社の違いについて、組織面、勤務者の意識面、働き方の比較や、事業会社内での公認会計士の強みと弱み、そして公認会計士とは監査をしていなくても、会計のプロであるのでプライドを持つと同時に、処世術として組織内では公認会計士の肩書にこだわる必要はないという話をされました。また、事業会社での長期的なキャリアについて、従来では転職による中途入社が多かったが、会計士人生を若手のうちから事業会社でスタートすることで、交渉力や情報収集力、マネジメント力など経理以外の知識を身に付けることができ、将来の可能性が無限に広がっているという若手の事業会社勤務会計士に対する感想をお話しいただきました。最後に、今井氏から参加者の方々へ、若手が企業内会計士として事業会社の経理実務に就くことで、パイオニアとして会計士の新たな可能性を広げることに是非チャレンジしていただきたいという熱いメッセージを頂きました。

第4部「事業会社勤務2010年試験合格者による座談会」(パネルディスカッション)
 第4部では、事業会社に勤める会計士試験合格者で、準会員会近畿分会幹事4名による就職活動の体験談と事業会社での就業体験をテーマとした座談会が行われました。
 
就職活動の体験談について
 就職活動の体験談のパートでは、どのような職種で就職活動をしたか、どれくらい面接に行ったか、就職活動で気を付けること等、計10項目について意見が交わされました。4名とも全国を駆け回って企業を回ったり、あるいは関西地方に限定して活動をしたりする等の多様な就職活動のあり方だけでなく、「就職活動中は気持ちが落ち込まないように、定期的に飲み会などに参加して外に出るよう心がける」といった、就職活動を乗り切るためのアドバイスついても語ってくださいました。4名の方の就職活動は、内定を勝ち取る事へのアプローチの仕方は様々でしたが、諦めずに粘り強く活動を続けるということ、人とのつながりを大事にするということは共通しており、諦めずに活動を続けるということ、人とのつながりを大切にすることの重要性を痛感しました。
事業会社での就業体験について
 事業会社での就業体験のパートでは、勤務条件や実務補習所の通学状況等の待遇面での話から実際にどのような業務についているか、入社してから気を付けていること等の実際の就業体験の話までしてくださいました。4名とも経理部や経営企画部財務課といった経理業務を行う部署に配属されていますが、固定資産管理や資本連結を任されたり、国内子会社1社を担当したり、単体月次決算を全て任されるといったように、実際の業務内容は多岐に渡り、また、1年目から非常に重要な業務を任されていることから、事業会社側の会計士試験合格者に対する期待度の大きさを感じました。
 また、事業会社に務めていると営業の方や総務の方等、経理とは関係のない部署の方と仕事で関わることがあるという話も出て、そこから法務や営業の知識・ノウハウを吸収できるというお話もしてくださいました。このような経験をすることは監査法人では少なく、事業会社に勤務する大きな魅力であると感じました。

第5部「事業会社の面接において頻出となる質問事項について(グループディスカッション)」
 第5部では、事業会社勤務の会計士試験合格者と当セミナーの参加者を交えて面接対応についてのグループディスカッションを行いました。
ディスカッションの概要
 まずセミナー参加者と事業会社勤務の試験合格者の準会員会幹事にはAグループからGグループの7つのグループに分かれてもらい、@就職が決まった人が必ず聞かれている質問とA面接でよく聞かれた質問について、どのように答えたら良いか、について話し合って頂きました。そしてディスカッションの最後に総括として各グループの準会員会幹事に話し合った内容の中でよかった意見・参考になった意見を発表して頂きました。なお、今回はセミナー前半で講演をしていただいた、種田ゆみこ氏、清水敬輔氏、増田明彦氏、今井幸彦氏、そして就業多様化対応委員会からオブザーバとして当セミナーにお越しいただいた岩井正彦氏、南方得男氏、米山高志氏の計7名の先生方にもグループディスカッションに参加していただき、面接対策に関して参加者の方々にアドバイスをしてくださいました。
ディスカッションを振り返って
 今回のディスカッションでは、就業多様化対応委員会の委員の方々もディスカッションに参加し、面接等の就職活動のアドバイスをしてくださったこともあり、参加者の方々にとっては大変充実したディスカッションになったのではないかと思います。
 また、ディスカッションの最後の総括での発表では、時間の関係上すべてのグループの意見を発表していただくことはかないませんでしたが、「面接では声の大きい人の方が面接官の印象に残りやすい」などのたくさんの意見を発表していただき、ディスカッションは大変盛り上がったと感じました。
3. 参加者の声
 今回、当セミナーでは参加者の方にアンケートを実施致しました。以下では参加者の声をご紹介させていただきます。
希望が持てました。経理についてのマイナスイメージ(経理しかできない、他人とのかかわりが少ない)が少しプラスに変わりました。
このセミナーがはじまるまでは、監査法人に行かないことに若干の劣等感を感じていました。しかし、パネラーの方や今井氏の話を聞いて前向きな気持ちになれました。
現在、働いている方の生の声が聞けてよかったです。
実務内容など詳しく伺うことができて良かったです。
 
4. 最後に
 今回のセミナーは、就職活動をされている参加者の方々の不安や大変さを少しでも軽減することが出来ないかという思いから開催することとなりました。また、パネルディスカッションの参加者も、昨年同じように就職活動に苦戦し、今後の合格者の方々に私たちが感じたつらい思いをして欲しくない思いから、実際の体験談や自身の待遇を参加者の方々に伝えました。監査法人への就職状況の改善が見られない中、就職先を決める決断をしなくてはなりませんが、企業内会計士として働いている方々の生の声を聞くことで、監査法人で働く魅力とはまた一味違った魅力があることに気付いて頂けますと幸いです。
 最後になりましたが、今回の就職活動応援セミナーの開催にご協力いただきました皆様に改めて厚く御礼申し上げます。